2015 Fiscal Year Research-status Report
地域気候特性に応じた生活季節の期日推定に関する研究
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15K06328
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
長野 和雄 京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (90322297)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 生活季節 / インターネット調査 / 総合気象観測 / 体感温度 |
Outline of Annual Research Achievements |
制服の衣替えや空調機器の使用のような生活上の季節現象を生活季節という。本研究の目的は、地域の気候とそれに伴う生活季節との関係を明らかにし、気候条件に適した各生活季節の時期を示すことである。 初年度である27年度は、7月から生活季節調査および気象観測調査を開始した。インターネット調査会社に委託し、京都市周辺の7市町に在住の男女各約111人を対象に、空調機器使用など21の生活行為の有無、外出時の服装(厚着・薄着の程度10段階)を尋ねるアンケートを行った。毎日の回答を得るため毎週実施し、各回につき直前の7日間について尋ねた。気象観測の測定項目は気温・相対湿度・気圧・風速・風向・日射量・長短波放射量で、京都府立大学下鴨キャンパス5号館の屋上に総合気象装置・長短波放射計を設置して行った。 気象データから総合体感温度を算出した上で、生活行為結果と比較する必要から、上記調査とは別途に、総合体感温度指標の一つであるETVOの有用性を検証した。これまでにもETVOやETUの有効性を検証しているが、その際には着衣人体の日射吸収率を用いていた。これは、衣服の日射透過分も合わせた正味の日射吸収率のことであるが、知られている実測値が非常に少ない。一方で衣服素材の日射吸収率および日射透過率の実測値の方がより数多く先行研究によって示されていることから、後者に替えた上で再検証を行ったものである。その結果、日射の影響を加味した総合的影響だけでなく、個々の気象要素の影響度も同時に得ることができるETVOの特長を確かめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、生活行為調査のうち衣服についてはビデオ撮影によって観測する予定だった。しかしプライバシー保護に万全の対策を講じても、被観察者への心理的ストレスが完全には拭えないことから、調査に同意し自発的に参加した回答者のみの回答を得ることができるインターネット調査に変更した。これに伴い、大学の通常講義の中で行う予定だった空調機器の使用に関するアンケート調査も、あわせてインターネット調査で行った。これにより、授業への支障や講義期間外のデータ収集の難しさといった問題を解決できたほか、ビデオ撮影に関する予備的調査が不要となり、当初の計画では9月からだった調査開始を7月に前倒しできた。 気象観測調査についても、停電の影響で一部が欠測することがあった以外は、ここまで順調にデータを取得できている。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度から続けている生活行為調査および気象観測調査を7月まで継続し、通年のデータを得る。 気象観測データを用いて、総合体感温度を算出する。当初は体感温度指標としてETUを用いる計画だったが、ETVOを採用することとする。両者の違いは気象要素別の影響度を算出する際の係数の補正の有無である。着衣人体の日射吸収率ではなく衣服素材の日射吸収率・透過率を採用する場合には、係数補正の効果が表れない。衣服素材の日射吸収率・透過率を用いた場合のETVOの有用性も確かめられたことから、ETVOによって年間変動を得る。 生活行為の年間変動も描き、各行為の初日(2割が行為を始めた日)および終日(8割が行為を終えた日)を導く。そして、算出したETVOと照らし合わせ、各初日・終日のETVO値を特定する。 拡張アメダス気象データより全国840地点のETVOを算出し、事前に算出した各行為の初日・終日のETVO値となる期日を特定する。
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Causes of Carryover |
着衣の季節変化の調査方法をビデオ撮影法からインターネット調査に変更したことにより、一連の撮影機材の購入費(約100千円)ではなく、インターネット調査会社への委託費(13~17千円/週×52週)がかかることとなった。初年度で37週分の調査を行ったため、544千円と大幅に必要経費が増えた。その分、総合気象装置の構成を見直した。すなわち、ソーラーパネルおよびバッテリーを組むことにより、独立電源で稼働させ停電に伴うデータ欠損のリスクを下げる予定だったが、建物内のAC電源から供給するかたちにした。結果として約101千円を繰り越すことができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
インターネット調査会社への委託費が少なくともあと15週分必要である。これだけで初年度からの繰り越し分と次年度分の計301千円のうち、約250千円を使用する見込みである。残りを、拡張アメダス気象データとクロ値測定用着衣の購入に充てる。ほかに学会発表旅費等が必要だが、通常校費を使用する。
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Research Products
(1 results)