2015 Fiscal Year Research-status Report
新たな要因による高層建築物の煙突効果発生メカニズムと屋内空気環境への影響の解明
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15K06330
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
諏訪 好英 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (10416836)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鍵 直樹 東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (20345383)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 高層建築物 / 煙突効果 / 流体力学モデル / エレベータシャフト / 室内空気環境 / 気流可視化実験 / トレーサ実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、建築物の超高層化により煙突効果に起因した不具合が顕在化している。煙突効果とは温度差による空気密度の差から浮力を生じ、煙突のような竪穴空間に上昇流を発生する熱対流現象の一種である。 従来、高層建築物の煙突効果の現象予測には換気回路網計算が用いられてきた。しかしこの手法では、浮力の評価がエレベーターシャフトなど竪穴区画においてのみ有効であり、高層階の一室のみ暖かい場合など、対応できない条件があった。このことは、本研究で今後扱おうとする屋外温度・密度の成層的鉛直分布を考慮した解析が、従来手法では原理的に困難なことを示唆している。そこで本年度は、流体力学の基礎方程式に基づく煙突効果予測計算の新たな手法(流体力学モデル)を提案し、現象予測プログラムを構築した。試行解析の結果、従来手法で解析可能な問題については両者よく一致する解が得られ、構築した手法が妥当であることが示された。また新たな手法では、従来手法で原理的に解析できなかった現象にも対応可能なこと、エレベーターシャフトの温度分布も考慮できることなども確認した。 一方、室内空気環境の観点からは、まず高層建築物における室内空気質の実態調査の統計分析を行った。また、縮小模型を用いた気流可視化実験、PIV解析、およびCFDシミュレーションを実施し、移流現象の検証を行った。さらに実在物件においてトレーサ実験を実施し、下層階から上層階への汚染質濃度の拡散状況などCFDシミュレーションによる結果が実測とよく一致することを検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現象予測モデルに関しては、流体力学モデルに基づく新たな現象予測手法を開発し、両者の比較によりその妥当性と各種問題への適用の可能性を検証できたこと、室内空気環境の観点からは、縮小模型実験およびCFDシミュレーションが実測結果を精度よく再現できることを確認したことなど、今後の研究につなぐ要素技術を固めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
室内空気環境に関しては、平成27年度の調査結果に基づき、高層階における室内空気質環境が知的生産性・健康影響に及ぼす影響について引き続き調査を実施する。 現象予測モデルについては、非定常現象への対応や給排気バランス、日射影響などの要因をモデルに取り込み、現象予測および対策検討の試行を行う。 また平成27年度に実施した縮小模型実験に基づき、鉛直方向の温度・密度分布を考慮できる実験装置を構築する。
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Research Products
(2 results)