2016 Fiscal Year Research-status Report
震災復興初期における暫定的土地利用方針に関する緊急研究
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15K06356
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
浅野 聡 三重大学, 工学研究科, 准教授 (70231892)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 南海トラフ巨大地震 / 災害復興 / 事前復興 / 暫定的土地利用 / 救援活動用地 / 応急仮設住宅建設地 / 災害廃棄物仮置場 / 応急仮設住宅 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度の研究成果は、第一に、平成27年度に立ちあげた「応急仮設住宅ガイドライン研究会」を継続して設置するとともに、内湾低平地部の北勢地域から四日市市、半島・島しょ部の東紀州地域から紀北町の2市町を新メンバーとして招へいし、充実した研究体制を構築出来たことである。 第二に、新たに研究会メンバーとなった2市町を対象として、三重県の新しい地震被害想定調査結果の集計データをもとに、市単位、行政区単位、小学校区単位ごとに調査結果の詳細化を行った。 第三に、2市町における暫定的土地利用の現状の候補地データを用途ごと(救援活動用地・仮設住宅建設地)に収集するとともに、特に仮設住宅建設地に対しては現地調査を行った。 第四に、平成28年4月14日に熊本地震が発生したが、被災地では応急仮設住宅の建設地の迅速な確保の重要性がクローズアップされたことから、平成28年度は、特に仮設住宅に焦点をあてて研究を進め、応急仮設住宅ガイドライン案を作成した。本ガイドラインは、仮設住宅の建設に関する一連のプロセスとその内容を解説することを目的として、仮設住宅の検討方針の設定、仮設住宅の必要戸数と必要用地面積の推計、建設候補地の検討、建設候補地の充足度評価の実施、建設候補地における配置計画の検討等を行うことができる内容としている。熊本地震による被災地の多くは、応急仮設住宅の建設候補地を事前に選定してこなかったために迅速な用地の確保が困難となり、その結果、東日本大震災と同様の状況が繰り返されてしまい、改めて事前準備の必要性が強く認識されることとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一に、「応急仮設住宅ガイドライン研究会」の設置を継続し、新たに2市町の参加を得て、充実した研究体制の構築をすることが出来た。 第二に、平成28年度に引き続き、新たに2市町を対象として三重県の新しい地震被害想定調査結果の集計データの収集と詳細化、暫定的土地利用の現状の候補地データの収集について、ほぼ予定通りに行うことが出来た。 第三に、熊本地震の発生を踏まえて、特に仮設住宅に焦点をあてて研究を進め、応急仮設住宅ガイドライン案を作成することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
第一に、市町の災害廃棄物処理計画を入手し、暫定的土地利用の1つである災害廃棄物仮置場の候補地データの収集を行う。平成28年度は市町が災害廃棄物処理計画を策定中であったため、災害廃棄物仮置場の候補地データを収集することが難しかったが、策定済みの市町も増えてきたことから、適宜、候補地データの収集を行う。 第二に、「応急仮設住宅計画」については、平成28年度に応急仮設住宅ガイドライン研究会を通じて検討した「応急仮設住宅ガイドライン(計画編)」を完成させ、製本して公表する。特に国土交通省、三重県、市町、三重県建設業協会等の関連機関に対しては配付する。 第三に、「暫定的土地利用計画」については、6市町を対象とした「暫定的土地利用計画図」を作成するとともに、同計画図の作成方法(技術基準)を確定する。また市町都市マスタープランへの挿入等の活用方法についても検討する。 第四に、以上の研究成果を踏まえて、震災復興初期に必要となる「応急仮設住宅計画」、「暫定的土地利用計画」に関する周知活動を行う。行政(三重県・市町)に対しては、周知のための研修会、シンポジウム等の開催を行い、研究成果を社会に還元するように務める。
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Causes of Carryover |
ほぼ予定通りに使用しているが、物品費(プリンター用トナー)として予定した支出が若干少なかったため、残額が生じている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
残額分は、次年度において物品費(プリンター用トナー)の購入にあてる予定である。
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