2016 Fiscal Year Research-status Report
地方都市の持続性危機に対するリジリエンスとしての内発的地域マネジメント
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15K06366
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
山口 邦雄 秋田県立大学, システム科学技術学部, 教授 (20457758)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今西 一男 福島大学, 行政政策学類, 教授 (40323191)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 住民組織 / 地方都市 / 景観保全 / 景観形成 / マネジメント |
Outline of Annual Research Achievements |
1.歴史的環境の維持・活用における地域マネジメントの動きを把握するため,残りの都市を対象に調査を行い,合計76のサンプルとして分析した。その結果,①重伝建地区の景観保全に直接的に係わる市民等の組織は約9割の都市にある,②賑わいへの貢献が約8割,地区内の交流や生活文化の継承への貢献が約8割,地域経済への貢献が約5割の都市で認められている,③市民等の組織による「修復・建替えにおける審査や協議」は16都市であるものの,全市的な計画への位置づけは5市しかないこと,を把握した。地域マネジメント組織の取組みに有益性が認められるものの,都市計画・政策との接続性の弱いことを把握した。 2.中心商業地の衰退への対応に関して,住民が道路拡幅事業のきっかけをつくりだすとともに地区計画の提案と「まちづくり協定」の締結を進め,沿道景観形成をマネジメントしている秋田県由利本荘市のまちづくり委員会の活動を調査した。この活動は,建替え時の計画審査や協議の実施,商店街活性化のソフトな活動へと発展しており,マスタープランの方針「未着手都市計画道路への対応」と「まちづくりへの住民参加」に対する先進的な実現モデルであることを明らかにした。 3.郊外住宅団地の衰退への対応に関して,地域活動団体の団地再生に資する活動に展開する可能性を検討した。住民自治組織や余暇集団といった地域活動団体を生活支援活動へと接続する,NPOや市民運動団体による「人材バンク」の成立条件と課題について,福島市蓬莱団地を事例として研究を行った。調査票調査の結果では,住民自治組織の72.2%,余暇集団の69.7%が生活支援活動への展開意思を示した。しかし,人材バンクへの登録意思は前者が0.0%,後者が12.1%という低調な結果であった。すなわち,人材バンクへの理解を促進する工夫や,モデル的な取組みの創出といった今後の研究課題が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
データ入手の遅れにより,地域マネジメント展開地に関する全市的観点からの立地分析が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
地域マネジメント展開地の立地特性について,分析対象を絞込みかつ商業系をメッシュデータではなく商業集積データへの変更を検討して進める。地域マネジメント力の指標は,①基本指標,②選択指標,③提案指標の観点を念頭に検討を進める。
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Causes of Carryover |
分析・加工用のアプリケーションソフトにアカデミック版のあることが判明して廉価で購入できたこと,電子データが未購入であること,実施した調査・ヒアリング対象地に遠隔地が少なかったこと等による。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
早期に電子データを購入・活用し,立地分析の遅れに対応する。また,遠隔地の調査・ヒアリングや学会発表等の旅費,およびGIS処理を高速化するためのPC購入費にあてる。
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Research Products
(3 results)