2017 Fiscal Year Research-status Report
地方都市の持続性危機に対するリジリエンスとしての内発的地域マネジメント
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15K06366
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
山口 邦雄 秋田県立大学, システム科学技術学部, 教授 (20457758)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今西 一男 福島大学, 行政政策学類, 教授 (40323191)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 住民組織 / 地方都市 / 景観保全 / 景観形成 / マネジメント |
Outline of Annual Research Achievements |
1.歴史的環境の維持・活用における地域マネジメントの動きを詳細に把握するため,建築の現状変更等に対する顕著な取組みのある18地区を分析し,(1)住民組織が事前審査として行政と協議,(2)住民組織が事前審査の結果を提供し行政が判断,(3)住民組織の承認を条件に行政に届出,(4)住民組織が助成申請の優先順位を決定,以上4つの活動類型を明らかにした。しかし,景観計画や歴史的風致維持向上計画等の全市的な計画書の調査・分析から,住民組織を明記している,あるいは条例等で位置づけている都市は僅かであることも明らかにした。 2.秋田県由利本荘市の歴史的街並みが残る石脇地区の住民組織に対し,アクション・リサーチ手法を用いて参与観察を行い,街並み再生の初動期における住民組織の空間演出の活動が地区住民の景観に対する意識の醸成や街並みの修復につながる小さな取組みとなることを明らかにした。 3.中心市街地の衰退への対応に関して,都市計画道路の拡幅整備を契機に地区計画の提案と「まちづくり協定」の締結を行った由利本荘市大門・本町通りまちづくり委員会の活動を参与観察し,まちづくり委員会が窓口となって沿道地権者の要望等をまとめ,事業主体である秋田県との間で拡幅整備事業に関する各種調整を実施して円滑な事業の推進に寄与していることを明らかにした。また,建築確認申請の前に住民組織が建築計画の審査・アドバイスのマネジメント活動を行っており,これらが有効に機能していることを明らかにした。一方で,建築行為と道路拡幅事業のタイミングが異なることから,フェンス等の審査に関して柔軟な対応が必要なこと等のマネジメントに係る今後の課題も得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
地域マネジメント展開地への現地調査について,2箇所の継続的な関与観察に時間を要したため,他の展開地での調査・ヒアリングができていない。そのため,地域マネジメント力の評価指標の検討に至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画で,典型的な地域マネジメント展開地を想定した詳細事例調査を8事例とした。残り6事例について早急に対象となる事例を定め,住民組織とマネジメント活動の実態を把握分析する。また,賑わい維持・創出,交流・文化の継承,地域経済への寄与について,全市的な観点からの考察も併せて行う。 地域マネジメント力の評価指標の検討は,アウトプット指標とアウトカム指標の適用のプレ検討を行った上で進め,手戻りを防ぐ。
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Causes of Carryover |
研究において,大学の立地する都市内での2つの住民組織の参与観察が中心となったため,遠隔地を想定した旅費支出が大幅に下回った。また,マネジメント展開地の都市レベルの位置づけについて景観計画,歴史的風致維持向上計画,都市計画マスタープランに基づく分析を行ったため,当初計画した電子データの購入は行わなかった。 今後の使用計画は,沖縄,九州を含む遠隔地におけるマネジメント展開地の現地調査とヒアリングのための旅費,成果発表のための学会参加費や論文投稿費にあてる。
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Research Products
(4 results)