2016 Fiscal Year Research-status Report
博物館ネットワークによる近世大坂の建築史・都市史研究の構築と展示公開
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15K06401
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
谷 直樹 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 客員教授 (40159025)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 近世 / 大坂 / 蔵屋敷 / 豪商の町家 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近世大坂の建築史・都市史研究をさらに発展させるために、大阪の博物館・資料館に所属する学芸員のネットワークを構築し、当該機関が収集した関連資料のデータベースを作成して個々の研究を深化させるとともに、展示による情報公開を目指すことを目的としている。具体的には、景観研究、建築史研究、都市史研究の3つの研究班を立ち上げ、研究の深化と展覧会の企画を行うこととする。 平成28年度は、建築史研究班を中心に、近世大坂の住宅史関係、すなわち大坂蔵屋敷や町家(主に大坂の三大豪商の一つである加島屋・廣岡久右衛門家)の指図や建築史関係の資料を収集し、その成果をもとに「大坂蔵屋敷」展を準備した。資料の収集先は、大阪歴史博物館、大阪商業大学商業史博物館、大阪文化財研究所、大阪府立中之島図書館、大阪市立中央図書館、大阪大学、神戸大学、大同生命など、大阪周辺の博物館、図書館である。展覧会は29年4月22日から5月28日に、大阪市立住まいのミュージアムの企画展示室において開催される予定である。展覧会の開催に先立って、図録(80ページ)の編集を行い、平成29年3月31日に発行した。 一方、都市史研究班では、引き続き旧愛日学区の所蔵になる「建家取調図面」(明治19年作成)を取り上げ、個別の建物のデータ入力を行い、連続平面図を作成して、町毎の集住の様子をデータ入力した。今年度は昨年度の残りの町から9ヵ町の図面入力を行った。これらは次年度に分析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「大坂蔵屋敷」展の開催を目標に、関連資料の収集を進め、その成果物として展覧会図録『大坂蔵屋敷』(全80ページ)を年度内に発行することができた。また展覧会は次年度の初頭に開催される予定である。 一方、都市史研究班では大阪船場・旧愛日学区の連続平面図を作成し、昨年度と合わせると全体の8割をカバーすることができた。ただ、図面のチェックに手間取り、分析までに至っていない。次年度で完成させたい。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度は景観研究班、今年度は建築史研究班に、資料収集、展覧会開催など大きな進展があった。最終年度はさらに資料収集を充実させ、都市史研究班の活動に力点を置き「建家取調図面」の成果を活かした資料分析や展示を行いたい。
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Causes of Carryover |
残高が出たが、翌年度初頭に展覧会が開催され、資料の撮影が可能になるので、消化できる予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
撮影費、委託費の出費を考えている。
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