2016 Fiscal Year Research-status Report
金属溶湯中で生じるデアロイング反応に及ぼす通電効果とナノポーラス構造制御への応用
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15K06478
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
和田 武 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (10431602)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 秀実 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (80323096)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ナノポーラス金属 / デアロイング |
Outline of Annual Research Achievements |
金属溶湯デアロイング反応に及ぼす通電の影響を明らかにするために、試料に電流を流しながら前駆合金を金属浴中でデアロイングする実験を行った。昨年度に見出した、前駆合金と浴成分金属の拡散対を組み固相反応させる、固相界面デアロイング反応を利用することにより、本年度はデアロイング反応時の前駆合金と浴成分金属との界面の面積を一定に保つことが可能になり、電流密度を一定に保って通電の影響をより正確に調査することができた。 Fe50Ni50前駆合金を作製し、これを純Mg板と突き合わせ、495℃の温度に加熱して1000000 A/m2の電流密度で通電して6時間保持した。すると、Fe50Ni50前駆合金中のNiのみがMgと反応して界面にMg2Niの金属間化合物層を生成し、残されたFeはこのMg2Ni層中にリガメント幅が100nm以下のナノポーラスFeとして分散した。このとき、電流の向きをFeNi側からMg側にすると、拡散対界面に生じる反応層(Mg2Ni/ナノポーラスFeの複合体層)の成長速度が、電流が逆向きもしくは電流を流していない場合に比べて大きくなることが確認され、金属溶湯デアロイング反応に及ぼす通電効果を確認することができた。通電によって生じる電子の運動量がMgに伝達され、MgのFeNi合金側への拡散が促進されたと考察されるが、現在、反応速度の解析によって通電によるデアロイング反応促進のメカニズムを明らかにする実験に取り組んでいる。 この結果を基にして、次年度ではポーラスTi、ポーラスSi、ポーラス炭素など、他の金属溶湯デアロイング反応系において、通電のデアロイング反応速度への影響の有無や、通電が及ぼす生成ポーラス金属の形態への影響を明らかにしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に見出した固相デアロイング反応を用いることで、統一した条件下でデアロイング反応に及ぼす通電の影響を調査することが可能になった。また、通電によってデアロイング反応が促進される現象を見出しており、研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
ポーラスFeが生成するデアロイング反応においては通電の影響が確認されたので、この発現機構を詳細に調べるとともに、ポーラスTi、ポーラスSi、ポーラス炭素など、Fe以外のポーラス金属が生成する金属溶湯デアロイング反応系において、通電のデアロイング反応速度への影響の有無や、通電が及ぼす生成ポーラス金属の形態への影響を明らかにしていく予定である。また、これらの結果を利用してサイズや配向状態など構造が制御されたポーラス金属の作製法を確立してゆく。
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Research Products
(8 results)