2015 Fiscal Year Research-status Report
熱間塑性加工による相変態を利用した純チタン材の集合組識制御と高強度化原理の構築
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15K06503
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
梅田 純子 大阪大学, 接合科学研究所, 助教 (50345162)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | 水素化チタン / 純チタン / 集合組織 / 酸素固溶強化 |
Outline of Annual Research Achievements |
微量水素含有Ti焼結材を対象に熱間塑性加工過程でのTiの相変態に基づく特異な集合組織形成による高強度化目指し、先ず、目的とする水素含有量を有するTi材を創製すべく、TiH2粉末を用いて脱水素化熱処理後の残留水素含有量に関する制御性を検討した。1073 K~1273 Kにて焼結処理温度を調整することで異なる水素量を有するTi-H系粉末焼結体を作製し,続いて熱間押出加工を施した後に組織構造解析を行った。その結果、焼結処理温度の上昇と共に、水素を含まないα-Ti粉末焼結押出材の組織に近づいた。一方、1073 K焼結押出材は、水素濃度が高いことから水素化化合物(σ相)の粒界分散により結晶粒成長を抑制し、1273 K焼結押出材と比較して56~75%の結晶粒微細化を呈した。加えて、微細なσ相が均一分散した二相組織を形成し、他の材料とは大きく異なる組織を呈した。また、引張強さ956 MPa・破断伸び29.5%という高強度と高延性の両立を達成した。この要因は、原料TiH2 粉末の残留水素の影響で安定化されたβ 相組織が、熱間押出加工時の冷却過程に起こるβ→α相変態における<0001>α底面集合組織の形成に加え、結晶粒微細化およびチタン結晶粒中に析出した硬質なσ相水素化チタンが変形双晶の進展を阻害することで局所変形を抑制し、材料の均一変形を促すことで高い延性を維持できるといった結果が得られ、微量水素のみで高強度化を実証したと考えられる。 さらに、既往研究成果である酸素原子によるhcp-Ti結晶格子への固溶強化法を適用し、水素含有量が異なるTiH2粉末+1.5 wt.% TiO2混合粉末を対象に適正な焼結条件を調査した。上述の結果と同様に水素含有量の増大とともに微細化し、酸素固溶強化と水素による結晶粒微細化効果の複合化を達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は10月採択・研究開始であったが、上述の通り,粉末冶金法を用いて微量水素含有Ti焼結材における相変態を利用した底面集合組織の形成機構の解明と高強度化を達成し、計画書通りに実施できたことから、おおむね順調に進展したと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
Ti母相中での水素・酸素原子の振る舞いを詳細に調査・解明して、既存のTi材料では必須とされてきた合金成分(特に希少金属)を一切含まず、水素のみで高強度化を達成する新規な高強度化設計原理の構築により完全レアメタルフリー純Ti焼結材の創製を目指す。さらに、β相安定化元素である不純物成分のFeを含むJIS-純Ti材を対象に、相変態を伴う熱間塑性加工温度の適正化を通じて、<0001>α結晶配向形成による高強度化を検証し、本プロセスの普遍性・汎用性を明らかにする。
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