2015 Fiscal Year Research-status Report
強磁性金属ナノワイヤー集積型次世代高性能磁石の開発
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15K06508
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
大貝 猛 長崎大学, 工学研究科, 准教授 (60253481)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 電析 / ナノワイヤー / 結晶配向性 / 保磁力 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、スルファミン酸浴を用いて、電析Coナノワイヤー配列素子を作製した。陰極電位を-0.65~-1.0 V vs.Ag/AgClの範囲で、定電位電解法により電析させた。また、得られたCoナノワイヤー配列素子の結晶配向性をX線回折法により調査した。-1.0 Vの条件で作製したCoナノワイヤーの長軸方向は、hcp-Coの<100>方向に向いており、-0.65~-0.70 Vの条件で作製した試料の長軸方向は、hcp-Coの<002>方向を向いていた。更に、各試料の膜面に対して垂直方向に磁場を印加したとき、<002>配向の全試料が<100>配向の試料より保磁力が高くなっており、陰極電位-0.65 Vで電析させた試料の保磁力は1.4 kOeまで増大した。 <002>配向試料の保磁力が増大した原因は、hcp-Coの磁化容易軸であるc軸とCoナノワイヤーの長軸が一致したことに起因するものと推定される。以上のように、Coナノワイヤーの結晶配向性を電析電位によって制御出来ることを見出した。また、スルファミン酸浴を用いて、電析CoFe合金ナノワイヤー配列素子も作製した。電解浴中のCoイオン源としてスルファミン酸Co、鉄イオン源として硫酸鉄を用いた。CoFe合金ナノワイヤー中の鉄含有量は、電析電位によって殆ど変化せず、浴組成で制御出来た。CoFe合金ナノワイヤーの保磁力は最大で2.3 kOeまで到達した。以上のように、純Coナノワイヤーに比べて、Co-Fe合金ナノワイヤー配列素子の磁気特性が優れていることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、電析Coナノワイヤー配列素子を均一電着性に優れるスルファミン酸浴を用いて作製出来た。更に、<002>配向のCoナノワイヤー試料の保磁力が高くなることを見出し、陰極電位を貴な領域に設定して定電位電析させたCoナノワイヤー試料の保磁力が1.4 kOeまで増大することを見出した。また、電析CoFe合金ナノワイヤー配列素子の作製にも成功した。このCoFe合金ナノワイヤーの保磁力は最大で2.3 kOeまで到達し、市販のアルニコ磁石の保磁力を大幅に超越する特性を得ることが出来た。以上の理由により、本研究は概ね順調に進展しているものと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、電析Coナノワイヤー配列素子の生産性を向上させるために、高過電圧条件下で<002>配向する最適電解浴組成を探索する。具体的には、電解浴中に錯化剤を添加し、Co錯イオンから電析Coナノワイヤー配列素子を作製する手法を開発する。また、電析後の試料を熱処理して結晶性を改善し、更なる磁気特性の向上を目指す。
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