2016 Fiscal Year Research-status Report
安心・安全な気相-固相法によるマグネシウムのアップグレード・リサイクル
Project/Area Number |
15K06528
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Research Institution | National Institute of Technology, Toyama College |
Principal Investigator |
井上 誠 富山高等専門学校, 機械システム工学科, 教授 (30232557)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | リサイクル / マグネシウム / 真空蒸留法 / 塑性加工法 / 耐食性 / 機械的特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
マグネシウムは軽量、リサイクル性等に極めて優れているが、リサイクルプロセスは確立されていない。一般的なリサイクルプロセスである溶解・鋳造法による液相リサイクルは、鉄、ニッケル等の混入があると耐食性が極めて悪化することから、廃棄物の厳重な分別が必要である。また、マグネシウムは大気中で溶解すると燃焼することから防燃対策も必要である。元素間の蒸気圧差を利用した真空蒸留法の<気相リサイクル>を行うことにより不純物を除去し、塑性加工の<固相リサイクル>を行うことにより燃焼の恐れもなく、機械的特性の向上も期待できる。そこで本研究では、安心・安全な気相-固相法によるマグネシウムのアップグレード・リサイクルの検討を行っている。 本年度は、平成27年度に得られた結果を、もとにして、<気相リサイクルの確立>、<固相リサイクルの確立>および<気相-固相リサイクル材の特性>の検討を行った。 <気相リサイクルの確立>は、平成27年度に得られた気相リサイクルの条件をもとに、加熱開始時の真空度1Pa以下、原料温度600℃、回収温度350~380℃、保持時間8hで、適切な気相リサイクル材を回収することができた。 <固相リサイクルの確立>は、押出しおよび圧延の塑性加工による固相リサイクルプロセスの検討を行った。押出しおよび圧延の塑性加工で、幅70mm以上の広幅リサイクル材を作製することができた。押出しは温度375℃、押出し比49で行った。圧延は気相リサイクル材のままでは清浄な圧延が行えなかったので、押出し温度375℃、押出し比9~13で、幅30mmに押出し後、押出し方向に対して90°の方向で、温度375℃、圧下率10%/パスで圧延を行った。 <気相-固相リサイクル材の特性>は、耐食性を中心に特性を検討した。押出し材および圧延材は純度99.99%以上の高純度なリサイクル材が得られ、良好な耐食性であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
<気相リサイクルの確立>、<固相リサイクルの確立>および<気相-固相リサイクル材の特性>の検討は、おおむね順調に進展している。 <気相リサイクルの確立>は、加熱開始時の真空度1Pa以下、原料温度600℃、回収温度350~380℃、保持時間8hで、適切な気相リサイクル材を回収することができている。 <固相リサイクルの確立>は、押出しおよび圧延の塑性加工で、幅70mm以上の広幅リサイクル材を作製することができている。 <気相-固相リサイクル材の特性>は、純度99.99%以上の高純度なリサイクル材が得られ、良好な耐食性が得られている。また、機械的特性の検討も行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、平成27、28年度に得られた結果をもとに、<固相リサイクルの確立>および<気相-固相リサイクル材の特性>の検討を行う。 <固相リサイクルの確立>は、平成28年度に得られた条件をもとに適切な固相リサイクルの条件を確立する。 <気相-固相リサイクル材の特性>は、70mm以上の広幅なリサイクル材の機械的特性について検討し、引張特性の異方性について検討する。また、特性の機構を考察するためにミクロ組織等を観察する。
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