2015 Fiscal Year Research-status Report
飛行機の高精度な静的空力特性推定を可能にする飛行試験データ処理手法の研究
Project/Area Number |
15K06612
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
上野 真 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 航空技術部門, 主任研究員 (20392821)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成岡 優 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 航空技術部門, 研究員 (10649073)
保江 かな子 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 航空技術部門, 研究員 (70597799)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 飛行実験 / 空力特性推定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は静的空力特性を精度良く取得するために、課題①「静的とみなせるデータの抽出」と、課題②「静的空力特性データのばらつきの抑制」を行う。 初年度として、なるべく理想的なデータで検討を進めるために、静的空力特性取得のために設計された経路を飛行する飛行試験を行った。すなわち、特定のマッハ数で特定の複数の高度を一定時間、条件を固定しつつ飛ぶことを繰り返すことで、高度によってレイノルズ数を変えつつ、時間の経過とともに減少する重量の変化で迎角変化を実現した。 課題①に関しては、ウェーブレットを使用したフィルターバンクを適用することで、静的計測区間として想定した区間を抽出できることを実証するコンピュータプログラムを開発。研究チーム内で共用できるように整備した。 課題②については、運動方程式の分析によって加速度がばらつきの主たる原因であることを解明し、抵抗係数のサンプルのばらつきを0.02から0.003~0.005程度まで低減することができた。また、複数飛行ケース間にまたがる平均値のばらつきは0.001程度まで低減することができ、研究成果を飛行機シンポジウムで発表した。 また、2分間の定常飛行中のデータに対して相関解析およびクラスタ分析を行うことで、データのばらつきが明確な多峰性を持つことを確認したが、この多峰性がどのような理由で生じているのかについての原因を特定するには至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
課題①については、ソフトウェアの整備に注力したため、静的データを確実に検出できることの確認が遅れる結果となった。ただし、ソフトウェアの整備が完了すると、確認自体は着実に行えると考えられるため、これによる全体計画の遅れの影響は軽微であると考える。 課題②については、ばらつきを予定を超えて大きく低減することができ、またその成果を口頭発表した。ただ、多峰性については、相関解析による多峰性の視覚化はされているが、その原因を特定するには至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度の計画はやや遅れ気味ではあるが、ばらつきの低減自体には成功していること、およびツールの整備が整ってきていることから、28年度は当初の計画通りの目標を達成できると考えている。 課題①については、ソフトウェア自体の整備は進んでいるため、これを用いて複数のデータへの適用を行い、所望の条件でのデータを推測する。 課題②については、クラスタ解析を進めて多峰性の原因究明を行い、今年度達成したばらつきの低減をさらに進め、当初の目的を達成することを目指す。
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Causes of Carryover |
少額の残金として2,276円が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
少額の残金として消耗品等の購入に使用する。
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