2015 Fiscal Year Research-status Report
二重反転垂直軸タービンを用いた浮体式洋上風力発電システムの連成解析による基礎検討
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15K06688
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
涌井 徹也 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40339750)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 洋上風力発電 / 浮体式洋上風力発電 / 垂直軸型風力タービン / 空力解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,風力発電の更なる普及促進を図るために,垂直軸型タービンを用いた浮体式洋上風力発電システムの開発を目指している.垂直軸型タービンを浮体式システムに用いる場合には,回転時に生じるカウンタートルクによって浮体にねじり動揺が発生するという問題点がある.そこで,二重反転垂直軸型タービンを用いてカウンタートルクを相殺することに着目し,基礎検討としてその有効性を解析的に明らかにすることを研究目的としている. 平成27年度は,これまでに申請者が開発してきた垂直軸型風力タービンの空力解析モデルを浮体式洋上風力発電システムに適用できるように拡張を行った.まず,浮体の動揺の解析を行うために,任意の回転位置での垂直軸型タービン(反転無し)の空力解析が行えるように,流管理論に基づく空力解析モデルにおいて,ローター上流で翼に回転力を与えることで減衰した風速が下流側の翼に作用する2段階風速減衰モデルを新たに考案して導入した.さらに,浮体の動揺に応じて回転軸が傾斜し,風力タービンに対する風の流入角が変化した時の空力解析が行えるように流管理論を独自に改良した.構築した空力解析モデルの妥当性は小型直線翼垂直軸型風力タービン(直径0.755 m)の風洞実験結果と比較することで確認した.その上で,定格出力2 MW(ロータ直径126 m,翼枚数3枚)の直線翼垂直軸型風力タービンの出力特性および空力荷重特性の分析を行った.その結果,垂直軸型風力タービンでは回転軸の傾斜の影響は高周速比域に現れ,回転軸が傾斜した場合の方が大きな出力が得られることを明らかにした.傾斜角がさらに大きくなると翼素を通過する誘導速度の翼素に垂直な成分の減少が支配的となり,効率に相当するパワー係数の最大値はある傾斜角で最大となることがわかった.また,傾斜方向による出力特性への影響の違いについても明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度は,研究実績の概要に記載の通り,垂直軸型風力タービンの空力解析モデルを浮体式洋上風力発電システムに適用できるように拡張を行い,回転軸が傾斜した時の直線翼垂直軸型風力タービンの出力特性ならびに空力荷重特性を明らかにすることができた.得られたモデルおよび知見は,垂直軸型風力タービンを用いた浮体式洋上風力発電システムの動的シミュレーションモデルを構築するための基礎となるが,当初予定していた浮体モデルとの連成解析を行うまでには至っていない.次年度の研究の最優先目的として,動的シミュレーションモデルの構築を鋭意進めたい.
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度はまず浮体動揺モデルを構築し,平成27年度に構築した回転軸傾斜時の垂直軸型風力タービンの空力解析モデルとの連成モデルの開発を行う.浮体動揺モデルは,波力,復元力,チェーン係留特性などを考慮した分布系モデルとし,垂直軸型タービンの空力荷重を複数の支持点で作用させ,さらに風力タービンからのカウンタートルクを発電機負荷トルクに等しいものと仮定して考慮する.その上で,直線翼垂直軸型風力タービンを用いた浮体式風力発電システムの動特性解析を行い,二重反転垂直軸型タービンを用いた場合の基礎的な知見を得る.特に風力タービンからのカウンタートルクによる浮体の動揺特性について重点的に解析を進める予定である.
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Causes of Carryover |
フランス パリ市で開催されるEuropean Wind Annual Event Conference 2015(2015年11月)での成果発表のための出張旅費を計上していたが,直前に発生したパリ同時多発テロを受け,安全面を考慮して出張を中止した.そのため,海外出張旅費の分が次年度への繰越金となった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は成果発表を行う国際会議として,9月にドイツ ハンブルグ市で開催されるWindEurope Summit 2016での発表を予定しているが,さらに,11月に東京で開催される第15回世界風力エネルギー会議 2016において成果発表を行うことを計画している.これにより前年度からの繰越金は予定通り支出できるものと考える.
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Research Products
(7 results)