2016 Fiscal Year Research-status Report
脳神経活動の自発性同期リズム振動を生む後脳オシレータの神経回路基盤と生理的意義
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15K06708
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
谷本 昌志 名古屋大学, 理学研究科, 研究員 (30608716)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ゼブラフィッシュ |
Outline of Annual Research Achievements |
ゼブラフィッシュ後脳に見出されたオシレータ回路を構成する細胞群の性質を明らかにすることを目的として、転写因子プロモーターの制御下でカルシウム感受性蛍光タンパク質を発現する遺伝子組換えゼブラフィッシュ仔魚や、汎神経細胞プロモーター下流でカルシウム感受性蛍光タンパク質を発現する遺伝子組換え系統と、転写因子プロモーターの制御下で蛍光タンパク質を発現する系統を組み合わせた系統を用いてカルシウムイメージングを行った。ゼブラフィッシュ後脳には、異なる転写因子や神経伝達物質を発現する細胞群が吻尾軸方向に連なるストライプ状のパターンを構成する。後脳オシレータの内側部の細胞群は、転写因子vsx2陽性のグルタミン作動性ニューロンによって構成されていることが明らかになった。 また、転写因子vsx2プロモータの制御下で膜移行ペプチド配列を付加した蛍光タンパク質を発現する遺伝子組換え系統を観察し、後脳オシレータの内側部の細胞群は主に後脳背側から腹側へ向かって軸索を投射することを見出した。 後脳オシレータの活動と脳の情報処理の間の関係を調べるために、音振動刺激に対する逃避運動に注目した。ゼブラフィッシュ仔魚では後脳に一対存在するマウスナー細胞が、音振動刺激に対するすばやい逃避行動を駆動する重要な役割を担う。同じ音振動刺激に対して片側のマウスナー細胞が活動する場合や、両側が活動する場合があることが報告されており、カルシウムイメージングによって後脳オシレータとマウスナー細胞の活動の相関関係を調べた。現時点では、後脳オシレータの左右の活動レベルの偏移とマウスナー細胞の活動の間に相関関係は見出されていない。一方、マウスナー細胞からホールセル記録を行い、活動電位を発生させた場合に、後脳オシレータ近傍の細胞がカルシウム応答を起こすことが見出され、詳細な解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
後脳オシレータの活動がはっきり観察される場合とされない場合があり、現時点で理由は不明なため観察数を増やす必要が生じたため。
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Strategy for Future Research Activity |
後脳オシレータを発見し、その回路構成や生理機能を解析しているAhrens博士、後脳回路の電気生理学的解析を進めているKoyama博士らが在籍している米国Janelia Research Campusを訪問して共同研究を推進する。
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Causes of Carryover |
生理現象を再現性良く観察するために試行錯誤が必要であることが判明し、予定していた物品の購入計画を遅らせる必要が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
速やかに研究を推進するとともに、進捗状況に応じて適宜予定していた使用分を翌年度分と合わせて執行する。
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Research Products
(1 results)