2016 Fiscal Year Research-status Report
パーキンソン病の分子病態を基盤としたバイオマーカーの開発
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15K06780
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
佐藤 栄人 順天堂大学, 医学部, 准教授 (00445537)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | パーキンソン病 / ミトコンドリア / PINK1 |
Outline of Annual Research Achievements |
老化や活性酸素の影響によって生み出された異常ミトコンドリアの識別機構は未だ不明な点が多いが、これまでの研究からの類推によると、ミトコンドリアの膜電位の低下を契機にPINK1がミトコンドリアに蓄積し活性化するように調節されている。このようなPINK1の活性型への変化こそが異常ミトコンドリアクリアランスのためのシグナルとなる。これらの知見をもとにすると、異常ミトコンドリアの蓄積に伴い遺伝性パーキンソン病原因遺伝子産物PINK1のリン酸化活性が亢進することが推測される。本研究ではこの知見を応用し、同様にミトコンドリア障害が指摘されている認知症関連疾患において、PINK1リン酸化活性亢進に伴うリン酸化タンパク質を同定すると共に早期診断を可能とするバイオマーカーを開発する。質量分析計(LTQ OrbiTrap ETD,TripleTOFTM 5600)を用いて、リン酸化タンパク質の同定を行う。方法としてPINK1 WTとKOマウスの脳ミトコンドリア分画を抽出し、網羅的にリン酸化プロテオーム解析を行った。その結果、2種類のリン酸化タンパク質を同定した。該当リン酸化タンパク質は,加齢によるミトコンドリア障害を感知したPINK1のキナーゼ活性が亢進した結果と推定された。リン酸化を認識する抗体を作製し、in vitroの系でリン酸化抗体を評価したところリン酸化認識抗体は高い特異性を示すことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りリン酸化基質の同定が行われ、抗体を獲得することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
同定されたリン酸化基質を認識する抗体にて疾患モデル動物や患者切片を用いての抗体評価を行う。
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Causes of Carryover |
リン酸化基質の同定に難航することが予想されたが、予定より早期に目的の候補が確認されたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最良の抗体を得るために複数の抗体を作製し評価を行う。
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Research Products
(1 results)