2015 Fiscal Year Research-status Report
新しい分子標的としてのPGE2受容体/IGF-1受容体の新規シグナルクロストーク
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15K06873
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
高橋 徹行 武蔵野大学, 薬学研究所, 講師 (00403692)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上原 久典 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 准教授 (30263809) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | PGE2受容体 / がん / シグナルクロストーク / メタボローム |
Outline of Annual Research Achievements |
膵臓がん細胞株ならびにヒト膵臓がん組織で認められたPGE2受容体EP2/EP4とIGF-1受容体のシグナルクロストークの有無を乳がんおよび前立腺がん細胞株を用いて調べたところ、乳がん細胞株MCF-7と前立腺がん細胞株DU-145においてこのシグナルクロストークの存在を示唆する結果が得られた。また、腎明細胞がん、肝細胞がん、大腸がんの組織マイクロアレイを用いてEP2、EP4、IGF-1R、MAP4K3、PKC-thetaの免疫染色を行ったところ、全てのパラメータで陽性を示した組織はそれぞれ9.7%、33.9%、35.5%であった。以上の結果により、本シグナルクロストークは膵臓がんのみで観察されるものではなく、広範な種類のがんにおいて起こりえる可能性が示唆された。
上段で検討したパラメータのMAP4K3はmammalian target of rapamycin (mTOR)を介した糖・脂質代謝調節に関与する事が知られているため、本シグナルクロストークによるがん細胞中の代謝調節変動に着目し、メタボローム解析を実施した。その結果、EP2/EP4拮抗剤で前処理した後IGF-1刺激を行った膵臓がん細胞株BxPC-3はIGF-1刺激のみを行ったものと比べてペントース-リン酸経路の代謝物群の顕著な減少とコリン代謝経路、グルタミン酸代謝経路の代謝物群の顕著な増加が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究計画については、おおむね報告書の計画通りに実施する事が出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
メタボローム解析で抽出できた変動が認められた代謝経路について精査していく。具体的には、変動した代謝物の生合成または異化反応を司る分子の発現レベルの変動を定量RT-PCRおよびウエスタンブロットで検討し、大きな変動が認められたものについて順次ノックダウンまたは強制発現を施していく予定である。これにより細胞の増殖シグナルにどのような影響を及ぼすかを検討し、EP2/EP4とIGF-1受容体のシグナルクロストークを介するがん細胞内代謝調節の意義を明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
実験計画申請時に見積もっていた使用・購入予定物(特にメタボローム解析関連)に関して再検討を行った結果、大幅に購入予算を減らす事ができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度への繰越額は平成28年度研究実施計画における物品費の購入に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)