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2015 Fiscal Year Research-status Report

血中の抗炎症性脂質により腫瘍が分子標的薬に高感受性を示す作用機序

Research Project

Project/Area Number 15K06877
Research InstitutionNagoya City University

Principal Investigator

桶本 和男  名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (50415486)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 李 政樹  名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00567539)
前川 京子  国立医薬品食品衛生研究所, その他部局等, その他 (70270626)
Project Period (FY) 2015-04-01 – 2017-03-31
Keywords多発性骨髄腫 / 血小板 / ボルテゾミブ
Outline of Annual Research Achievements

ボルテゾミブはプロテアソームを特異的に阻害する分子標的薬で、これまで多発性骨髄腫の治療で優れた効果をあげています。しかし、ボルテゾミブにも分子標的薬に特有の耐性と副作用の問題が存在し、その詳しいメカニズムは不明です。多発性骨髄腫のボルテゾミブ耐性のメカニズムを明らかにすることが本研究の目的です。申請者らはボルテゾミブに高感受性の患者(良く効いた患者)の血清中に特定の脂質が多く存在することを見出していましたが、初年度において、更にその候補を12-ヒドロキシ-ヘプタデカトリエノイン酸(12-HHT)とトロンボキサンB2(TXB2)に絞り込みました。申請者はこれらの脂質がNFkBとSTAT3の活性を抑制し多発性骨髄腫のボルテゾミブに対する感受性をあげていると考えていました。しかしながら、これらの脂質による多発性骨髄腫への直接の作用は認められませんでした。一方、12-HHTとTXB2を産生する血小板数とボルテゾミブ療法の奏効性が良く相関することが判り、今後は血小板の活性とボルテゾミブ存在下での骨髄腫細胞の生存およびNFkBとSTAT3の活性に対する影響を調べていきます。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

ボルテゾミブ・デキサメタゾン(BD)療法を受けた患者から治療前に採取した合計54の血清を新たに測定し、奏効性と関連するバイオマーカーを解析しました。その結果、酸化脂肪酸のマーカー候補としては以前から着目していた12-ヒドロキシ-ヘプタデカトリエノイン酸(12-HHT)とトロンボキサンB2(TXB2)の2種のみに候補が限定されました。BD療法で効果がみとめられた検体と効果が無い検体で回帰分析と相関係数を求めた結果これらの候補はBD療法の奏功性と有意に相関を致しました。そこで、多発性骨髄腫のボルテゾミブに対する感受性への影響を調べる目的で、ボルテゾミブ存在下(0-5 nM)での6種類のヒト多発性骨髄腫由来の培養細胞の生存率と細胞増殖への12-HHTとTXB2の影響を調べました。しかしながら、どの培養細胞も現実的な濃度(0-5 uM)において、これらの酸化脂肪酸によりボルテゾミブへの感受性に変化を示しませんでした。これらの結果は12-HHTとTXB2が骨髄腫に直接作用する可能性を否定しています。
さて、12-HHTとTXB2は血小板で同じトロンボキサンA合成酵素で産生されることが判っています。検体間における12-HHTとTXB2のレベルの変動は一致しており、このことはトロンボキサンA合成酵素の活性を反映していると考えられました。このトロンボキサンA合成酵素の活性は血小板の凝集活性能を反映しています。そこで患者の血小板数を、12-HHTとTXB2のレベルそして治療効果とで比較した結果、どちらも血小板数と有意に相関を致しました。現在のところ、ボルテゾミブは体内で骨髄腫に直接作用して細胞障害活性を示すと考えられております。以上のことから、我々は血小板が骨髄腫に何らかの作用をすることにより、ボルテゾミブへの感受性を上げている(生存率が低下する)と予想しています。

Strategy for Future Research Activity

血小板とヒト多発性骨髄腫由来の培養細胞を共培養し、ボルテゾミブの存在下で培養細胞の生存率と細胞増殖の変化を調べます。その際には各種阻害剤特にシクロオキシゲナーゼ阻害剤のよる、こられの変化に対する影響を調べます。さらに血小板による骨髄細胞のNFkB活性およびSTAT3の活性が抑制されることを確認いたします。その上で血小板による骨髄細胞内の各種シグナル伝達経路の変化を主にqPCRとウエスタンブロッティングを用いて検出し、関連する分子を同定していきます。

Causes of Carryover

実験を行っている国立医薬品食品衛生研究所のネットワークが2ヶ月間(6-7月)全面禁止となっていたうえに7月に代表研究者が体調を崩し一ヶ月間療養しておりました。そのため、著しく業務に支障をきたしておりました。また、昨年度の実験結果から血小板がボルテゾミブの抗骨髄腫活性に関与する可能性が高くなり、平成28年4月より日赤由来の不要な血小板を使用する予定です。そのために、研究費と計画を28年度に重点的に行うことに致しました。

Expenditure Plan for Carryover Budget

血小板の共培養に新たな培地と阻害剤の使用が費用になり、また培養方法も複雑になるために予定より培養に使用する消耗品が増えると見込まれます。

URL: 

Published: 2017-01-06  

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