2017 Fiscal Year Research-status Report
ケミカルジェネティクス法で新規同定したGreatwallキナーゼ標的候補の解析
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15K07041
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
奥村 英一 東京工業大学, 生命理工学院, 助教 (00323808)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 生体分子 / 生理活性 / タンパク質 / ゲノム / 染色体 / Gwl / Greatwall / M期 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、Greatwallキナーゼ(Gwl) によるM期進行制御の分子標的解明を目指し、ケミカルジェネティクス法を用いて同定した 15 個の Gwl のリン酸化基質候補の中で、特に染色体との相互作用が示唆される 1 つの候補タンパク質に着目して解析を行った。このGwlの新規基質候補について、初年度から3年目までの解析により下記の結果を得た。 1) 基質候補の遺伝子をクローニングして大腸菌で発現させた部分断片は、in vitroでGwlにより確かにリン酸化された。2) 発現させたタンパク質断片を抗原に作成した抗体は、細胞内の基質候補をウエスタン解析で認識した。M期に電気泳動の移動度変化を伴うリン酸化修飾を受けた。このリン酸化には、M期の主制御キナーゼであるCdk1も関与した。3) In vitroでのGwlによるリン酸化部位の候補部位をAlaに置換する方法で、リン酸化部位候補を2カ所同定した。4) 2カ所のリン酸化部位をAlaに置換した断片を細胞内に注射するとM期進行に異常を示すものが見られた。5) リン酸化候補部位に対する抗リン酸化抗体を作成したところ、in vitroでGwlによりリン酸化した基質を特異的に認識した。6) 内在性の基質候補もM期にリン酸化を受けることが抗リン酸化抗体を用いたウエスタン解析から示唆された。 こうした結果は、Gwlの新規基質候補が、確かにGwlの基質であることを示しており、また、特に4)の結果は、そのリン酸化がM期進行制御に関わることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、Greatwall (Gwl)がM期進行を制御する際の分子標的の解明を目指し、ケミカルジェネティクス法を用いて同定した新規基質候補について解析を行い、当初はおおむね順調に進展してきた。しかし、やや遅れが生じたのには大きく2つの理由がある。 1) Gwlの新規基質候補がM期の主制御キナーゼであるCdk1によってもリン酸化されることが示唆され、Gwlのリン酸化の役割を明らかにするために、Cdk1によるリン酸化についても解析する必要が出てきたことがあげられる。解析が複雑化したことで時間を要するようになる一方で、Gwlに加えてM期の主制御キナーゼの関与も明らかになったことは、新規基質のリン酸化制御については当初予期していなかった発見となっている。 2) キナーゼによる基質候補のリン酸化の解析を行う準備がところで、残念なことに所属する大学の放射線実験施設の大規模な改装工事により施設が閉鎖されてしまった。ラジオアイソトープ(RI)を利用したリン酸化の証明実験ができなくなったため、代わりにリン酸化部位変異体や抗リン酸化抗体を用いた手法を用いた。これらの準備に時間を要したことが研究の進捗にやや遅れが生じた。なお、施設は平成30年10月から利用可能となる予定であるため、1年延ばした研究期間中にRIの使用を必要とする実験を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の課題としては、in vivoでGwl依存的にリン酸化が起きるかを明らかにすること、ならびに、このリン酸化がM期進行の制御に何らかの役割を持つかを明らかにすることが重要と考える。これらを明らかにする方法としては、これまでに作成した2箇所のリン酸化部位を特異的に認識する抗リン酸化抗体を用いて、細胞内のGwl活性を阻害した時に、このリン酸化がGwlに依存的であるかを調べる。阻害方法として、中和抗体を用いる方法と細胞核ごとGwlを除去する方法とを試す。また役割については、リン酸化部位の変異体を用いて解析する。その際、初年度に見出したCdk1による基質候補のリン酸化の意義についても着目し、Cdk1とGwlとの2つのキナーゼがどのような役割や関連性を持っているかも検討する。
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Causes of Carryover |
研究計画に遅れが生じたため、研究期間を1年延長し、計画していた支出を繰り越した。 使用計画としては、今後の課題である、in vivoでGwl依存的に新規基質候補のリン酸化が起きるかを明らかにすること、ならびに、このリン酸化がM期進行の制御に何らかの役割を持つかを明らかにするための解析に用いる。具体的には、解析に必要となるGwlを阻害するための道具となる変異体作成のための分子生物学実験用試薬と中和抗体調製用の生化学実験用試薬や機器等の消耗品などの経費である。
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Research Products
(1 results)