2016 Fiscal Year Research-status Report
嫌気環境に対する適応進化の初期段階にある退化的ミトコンドリアの機能解明
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15K07176
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| Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
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Principal Investigator |
瀧下 清貴 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋生物多様性研究分野, 主任研究員 (90392951)
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| Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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| Keywords | 原生生物 / 嫌気 / ミトコンドリア |
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| Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度，RNA-seq解析により推定された嫌気性自由生活型のストラメノパイル生物Cantina marsupialisが有する退化ミトコンドリアの新規な代謝機能およびその進化プロセスに関しては，原生生物学専門雑誌Protistにおいて原著論文として発表した（Noguchi et al. 2016）。本解析を行う過程で，酸素呼吸を行わない退化ミトコンドリアを有する生物では通常存在しないと考えられてきたミトコンドリア特有のリン脂質「カルジオリピン」の合成を行う酵素をコードする遺伝子がC. marsupialisにおいて検出された。興味深いことに，それは真核生物において２タイプ存在することが知られているカルジオリピン合成酵素（pldタイプとcapタイプ）の内，これまでストラメノパイル生物には存在しないと考えられてきたpldタイプのカルジオリピン合成酵素をコードする遺伝子であった。そこでストラメノパイル系統群内における2タイプのカルジオリピン合成酵素はどのような分布パターンを示すのか，さらにそれらはどのような進化を遂げてきたのかを，ストラメノパイル大規模遺伝子系統解析によって得られる信頼性の高い系統樹を基に推測することを目的として，C. marsupialis以外のストラメノパイル生物（Cafeteria roenbergensis，Wobblia lunata，Developayella elegans：いずれもストラメノパイル系統群内で比較的初期に分岐した種であり，これまでRNA-seq解析が行われていない）を対象としたRNA-seq解析を行った。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の目的であるCantina marsupialisの退化ミトコンドリアの代謝機能解明は現段階で達成され，論文発表も行った。さらに当初は予定していなかったミトコンドリア特異的リン脂質の合成酵素の進化プロセスの推定も行った。
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| Strategy for Future Research Activity |
Cantina marsupialisおよび他の嫌気性真核生物が有する退化ミトコンドリアの代謝特性を比較することによって，カルジオリピンのミトコンドリアにおける存在意義を検討する。
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| Causes of Carryover |
次世代シークエンサーを用いたシークエンシングのための費用が予定より抑えられたため。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
追加のシークエンシングを行うとともに，その作業のための人件費に用いる。
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