2015 Fiscal Year Research-status Report
西日本の渓流沿い植物の系統地理及び集団維持に関する研究
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15K07186
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
山城 考 徳島大学, 大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部, 准教授 (50380126)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 系統地理 / 環境適応 / 種分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
アキノタムラソウ、リンドウ、アワモリショウマについて四国の渓流植物集団のサンプリングを行った。サンプリングは吉野川、那賀川、仁淀川、四万十川およびその集水域で行った。本年度はアキノタムラソウについて、マイクロサテライト遺伝子マーカーの開発を行った。次世代シーケンサーおよびビーズ濃縮法を用いて10個のマイクロサテライトを単離した。那賀川の集団を用いてスクリーニングを行った結果、9つの遺伝子座について多型がえられた。リンドウについてはすでに報告されているマイクロサテライトを増幅するプライマーから10個のプライマーを選定し、仁淀川の集団についてスクリーニングを行った。10のマーカーすべてにおいて多型がみられたため、継続して使用する予定である。アキノタムラソウについては、河岸の早咲き集団と陸上型との外部形態および繁殖様式の比較を行うため、渓流型(那賀川、貞光川)と陸上型(眉山、高越山、大滝山、つるぎ町)の集団について野外調査を行った。栄養器官と繁殖器官について、計15形質について測定を行ったが、渓流沿い型では小葉の葉脚角度が陸上型より小さいと言う特徴がある以外、両者に形質には違いは見られなかった。また、訪花昆虫について比較を行った結果、渓流沿い集団では、コマルハナバチとヒゲナガハナバチが陸上集団ではトラマルハナバチやコシブトハナバチが主要な訪花昆虫になっていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究費の使用開始が遅れ、対象植物の開花期間中の野外調査が不可能であり、九州や紀伊半島のサンプリングを見合わせたため。また、本課題研究で中心的に使用するDNAシーケンサーのミラーシステムが故障し、実験を中断せざるをえなかった。対象種としているアワモリショウマ及びホソバシャジンのマイクロサテライトマーカーが次世代シーケンサーの試薬の入荷の大幅遅延により、本年度中に作成できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定では、平成27年度中に対象種のマイクロサテライト遺伝子マーカーの開発を終了させる予定であったが、現時点では2種についてしか作成できていない。アワモリショウマ及びホソバシャジンについては現在、シーケンス待ちの状態で有るため、結果が出次第スクリーニングを行いマーカーの選定を行う。また、他の近縁な分類群で作成されたマーカーを使用することも検討する。特に、前年度に行えなかった、九州及び紀伊半島のサンプリングを行う予定である。本年度はマイクロサテライトマーカーを使用し、各集団の個体の遺伝子型の決定を行う(1種あたり最低10遺伝子座を使用)。得られた遺伝子型から集団の遺伝的分化、集団の地理的構造について解析を行う。さらに、コアレセント理論を使用したシミュレーションを行い、集団間の移住率および分岐年代の推定を行う。アキノタムラソウとソソバシャジンについては渓流沿い集団と陸上集団の生殖的隔離の有無を検証するため、葉緑体マイクロサテライトと核マイクロサテライトを用いて解析を行う。交雑を起こしている場合は、交雑集団の構造を明らかにするため、核マイクロサテライトマーカーから得られた遺伝子型についてソフトウエアを使用し個体の雑種世代の推定を行う。また、世代ごとに渓流沿い型と陸上型の雑種がどの程度の割合で生じているのかを調べるために、両集団から得られる種子を播種し、芽生えの遺伝子型を決定し、得られたデータに基づき父性解析を行う。野外調査では、DNA解析のためのサンプル収集以外に、移植実験を同時並行で進める予定である。
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Causes of Carryover |
経費使用の開始が対象植物の開花時期から遅れたため、本年度は九州地方と紀伊半の野外調査を見合わせたため、旅費の残額が生じた。また、研究課題で中心的に使用しているDNAシーケンサーの故障により、実験を中断せざるをえず、まとまった成果が得られず、成果発表当のに充てていた予算が未使用になってしまったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
生じた次年度使用額は主に、次年度の予算と合わせ、DNAシーケンサーのミラーシステムの修理に使用する予定である。また、不足すると思われる旅費はサンプリング集団や滞在日数を減らすことにより対応する予定である。
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