2016 Fiscal Year Research-status Report
ライフヒストリーを基軸とした,中近世日本人骨の生物考古学的研究
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15K07241
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
長岡 朋人 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 准教授 (20360216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安部 みき子 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (80212554) [Withdrawn]
蔦谷 匠 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(PD) (80758813)
森田 航 北海道大学, 歯学研究科, 助教 (20737358)
川久保 善智 佐賀大学, 医学部, 助教 (80379619)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 生物考古学 / 未成人骨 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.愛知県東海市名和町榎戸に所在する長光寺製塩遺跡は,長光寺本堂の再建工事に伴い,東海市教育委員会が主体者となって1984年から1985年にかけて発掘調査が行われた。本堂の基礎部分から人骨が出土し,六道銭,鉄釘,製塩土器片が出土した。本研究では,出土人骨のクリーニングと整理を行い,出土人骨の個体数や死亡年齢構成の推定や特殊所見の観察を行った。未成人骨の死亡年齢推定の方法は,歯の形成・萌出,全身骨の計測値の回帰分析やセリエーションに基づく。その結果,長光寺製塩遺跡から出土した人骨の概数はおよそ200体であり,すべてが未成人から構成され,特に胎児から5歳までの個体が占める割合が高かった。このことから江戸時代における未成人の死亡率の高さがうかがえた。また,出土人骨の死亡年齢構成の分析から,長光寺製塩遺跡は未成人に限定した独立した墓地空間であることが確認でき,未成人のみを埋葬するという子墓が当時の東海市において認められることが実証できた。日本における子墓の発見は大阪府堺市の堺環濠都市遺跡喜運寺墓地に続く2例目の発見である。また,長光寺製塩遺跡は世界でも最大規模の未成人骨の埋葬遺跡であり,今後の未成人骨の生物考古学の発展に不可欠な資料になることが期待できる。 2.次に,大阪府堺環濠都市遺跡(17世紀中葉から19世紀)と東京都一橋高校遺跡(17世紀)から出土した江戸時代人骨における乳歯の齲蝕を調査した。その結果,堺環濠都市遺跡では504本の乳歯のうち50本に齲蝕を認め,一橋高校遺跡では843本の乳歯のうち99本に齲蝕を認めた。齲歯率はそれぞれ9.9%と11.7%であり,先行研究で示された福岡県宗玄寺遺跡の江戸時代武士(17.1%)や京町遺跡の江戸時代庶民(26.9%)より有意に少なかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究資料の整理とデータ収集が予定通り進んでおり学会発表や論文作成ができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題で対象としている中近世人骨のデータの整理を進め、論文や学会発表で成果を発表する予定である。
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Causes of Carryover |
古人骨の整理作業が順調に進み、今年度は整理作業員を雇用する必要がなくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度まで整理、分析を行った資料の比較資料の観察や論文執筆に予算を用いる予定である。
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Research Products
(9 results)