2015 Fiscal Year Research-status Report
コムギのPpd1座不感光アレルの早生化作用を凌駕する出穂開花遺伝子の同定
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15K07255
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中崎 鉄也 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (60217693)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 四倍体コムギ / 早生遺伝子 / 開花経路 |
Outline of Annual Research Achievements |
四倍体コムギ系統TN26(T. turgidum subsp. dicoccum)が保有する未知の早生遺伝子を同定し、その活用方法を提示することを目指し、本年度は、TN26、TN28(T. turgidum subsp. turgidum conv. turanicum)、および、TN26-TN28交雑後代集団を供試して、圃場条件下で栽培した場合のQTL解析、Vrn-A3の塩基配列多型の検出、16時間日長条件下でのQTL解析、および、純粋早晩性に関与する4座のQTL の効果の検証に関する試験を行った。3播種期(10月28日、11月18日、12月9日)を設け、交雑F6集団を供試して行った圃場試験から、Ppd-A1座に対応するQTLがすべての作期で検出されたにのに対して、TN26が保有する未知早生遺伝子の候補である7A上のQTLは播種期の早い2作期のみで検出され、24時間日長及び12時間日長で行ったこれまでの解析結果と符合する結果が得られた。また、VRN-A3の塩基配列の解析から、TN26とTN28の配列間でアミノ酸置換を引き起こすSNPおよび第1イントロンに2bpの挿入欠失多型、プロモーター領域のSNPと2か所の挿入欠失多型(7bpおよび25bp)が存在することが明らかとなった。プロモーター領域挿入欠失多型の領域には、FTの転写因子であるCONSTANSが標的とするシス配列GATAboxが存在することが判明したことからVrn-A3座アレルと開花期との密接な関連性が想定された。さらに、Vrn-A3座を加えた連鎖地図を用いたQTL解析ではVrn-A3座の位置に7A上のQTLが検出され、7A上のQTLと Vrn-A3座の同座性を強く示唆する結果が得られた。その他の解析では、5A上のQTLがTN26の早生化に寄与していると推察される等、次年度以降の検証実験によって所期の目標に近づくことができる重要な結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、研究代表者の研究の場である附属農場の移転事業が行われ、研究の進捗に影響することが懸念されたが、次世代シークサーによる解析がやや遅れたものの、研究は、おおむね順調に進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に沿って、主としてTN26とN28の交雑後代集団を供試した種々の環境下での分離分析を進めるとともに、次世代シークエンサーによる配列解析や関連遺伝子の転写解析等についても順次、解析操作を進め、四倍体コムギが保有する新規早生遺伝子を同定・単離し、その活用方法を提示することを目指して研究を進める方針である。
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Causes of Carryover |
次世代シークエンサーによる配列解析の外注を計画していたが、やむを得ない事情で年度内発注できなかったため、これに関連する経費等が次年度使用額となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額を利用して、準備が整い次第、次世代シークエンサーによる配列解析の外注作業を進める様に計画している。また、当初より予定されている次年度の研究は、次年度分の助成金を活用し、順次進めていく。
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Research Products
(3 results)