2015 Fiscal Year Research-status Report
イネ融合葉突然変異体の解析による新規マスター調節遺伝子ネットワークの解明
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15K07259
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
永澤 奈美子 (佐藤奈美子) 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (00535289)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 純一 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (30345186)
永澤 信洋 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (90599268)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | イネ / 突然変異体 / 分裂組織 / 葉 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、融合葉突然変異体の形態観察およびマッピングを主に行った。 劣性のabl1突然変異体の形態観察では、abl1突然変異体の異常は融合葉出現以外に、葉序や葉身/葉鞘境界の形態などにも見られることが明らかになった。マッピングの結果、原因遺伝子の座乗染色体は第4染色体であり、領域もおおよそ500kbpまで狭まったが、その範囲にギャップも見つかり、実際の候補領域全体の距離はそれ以上である可能性が高いと考えられた。また、予定していたオーキシンの局在を調査するための形質転換体の作成と種子収穫は完了した。 優性のABL2突然変異体の形態観察からは、ABL2遺伝子が胚発生中から機能していることが示唆された。ABL2突然変異体では、融合葉以外にイネの葉身および葉鞘に存在する一細胞性の毛の数が野生型に比べて増え、長さも長くなっていることも明らかになった。さらに、遺伝解析から、この変異体の低稔性が原因でこれまでは突然変異体の他殖が起こっていた可能性が高いと示唆され、開花時の袋かけによってその問題の克服を試みたところ、自殖種子や突然変異体ホモ株を得ることはできた。今後これらを用いた解析を行っていくことになる。また、原因遺伝子は第2染色体に座乗していることは明らかになった。領域としてはおよそ2Mbpが候補に挙がっている。この時点までのマッピング集団には自殖性の問題もあったため、今後はさらにマッピング集団を大きくするだけでなく、マッピングに使用する品種を変えたり、確実に自殖によって種子を収穫したりして実験を続ける必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
abl1については、原因遺伝子の座乗候補領域内にギャップが見られたこと、また、ABL2については、マッピング集団が完全に自殖によって作成されたものではなかったことが、遅れの理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
マッピングについては、マッピング集団のサイズを大きくしたり、マッピング集団の種類を変えることで推進を図る。その他の形態観察や分子マーカーを用いた解析はこれまで通り継続して行う。
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Causes of Carryover |
マッピングに遅れが出たため、そのうえで行う実験にまだ取りかかっていないため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
原因遺伝子をクローニングで来た後に行うべき発現解析実験に主に使用する。
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