2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K07372
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Research Institution | Nigata University of Phermacy and Applied Life Sciences |
Principal Investigator |
高久 洋暁 新潟薬科大学, 応用生命科学部, 教授 (70350717)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 油脂酵母 / 遺伝子組換え / 脂肪酸合成 / トリアシルグリセロール / 油脂高蓄積変異株 |
Outline of Annual Research Achievements |
新興国の成長などによるエネルギー、食糧等の資源需要増は、資源争奪、価格の乱高下の問題を引き起こしている。このような状況は、油脂でも同様で、需要、価格で大きな変動が起こっている。油脂自給率が13%しかない日本の油脂関連産業の維持と発展は、海外からの油脂資源確保に大きく依存するため、油脂自給率の向上は急務課題である。環境保護や日本の国土を考えると油糧作物の生産拡大は望ましくなく、国土の狭い日本にあった独自の油脂資源の確保法が求められる。本研究では、その一つの方法として様々なバイオマス由来の糖を資化して細胞内に油脂(トリアシルグリセロール, TAG)を蓄積する油脂酵母Lipomyces starkeyiによる油脂生産に注目した。L. starkeyiを産業利用し,油脂自給率の向上に貢献していくためには、油脂生産性の向上が必須であり、そのための基盤として,L. starkeyiが油脂を蓄積する詳細な機構を理解することは重要である。そこで本研究では油脂生産に関与する重要遺伝子の同定及び解析を行うことを目的とした。 昨年度までに、油脂合成・分解経路の遺伝子の発現解析を行い、油脂合成及び分解に大きく関与する遺伝子を同定した。本年度はこれらの遺伝子を含め、油脂生産性の向上に重要な遺伝子を同定するために油脂高蓄積変異株を取得した。さらに同定した遺伝子の油脂生産性への寄与を明らかにするための技術として、昨年度開発した形質転換システム(スフェロプラスト-PEG法)の欠点であった遺伝子ターゲティング効率を、非相同的に遺伝子を導入するタンパク質遺伝子(LsLIG4, LsKU70, LsKU80)を欠失させることにより向上させることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
油脂酵母Lipomyces starkeyiの油脂生産メカニズム解明及び油脂生産性の向上に大きく貢献可能な油脂高蓄積変異株の取得に成功したため。さらに、昨年度の結果から生じた課題であった遺伝子組換えシステムにおける遺伝子ターゲティング効率の改善に成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
野生株と油脂高蓄積変異株の油脂生産性の比較を行い、油脂生産能の向上の程度を明らかにする。さらにそれぞれの株の油脂合成・分解経路のリアルタイムPCRを利用した遺伝子発現解析を行い、比較検討することにより、油脂生産性向上に貢献する重要遺伝子を同定する。得られた重要遺伝子の遺伝子破壊株や高発現株を作製し、その機能を明らかにする。
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Causes of Carryover |
獲得した油脂高蓄積変異株と野生株の表現型解析(菌数、糖消費、油脂量など)を解析する予定であったが、解析対象となる油脂高蓄積変異株の絞り込みに時間がかかり、その解析予定を次年度にしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
油脂高蓄積変異株と野生株の表現型解析(菌数、糖消費、油脂量など)を解析の試薬等に充当させる。
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Research Products
(9 results)