2016 Fiscal Year Research-status Report
パイエル板免疫細胞による腸内細菌の調節:食品による人為的制御のための基盤的研究
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15K07438
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
橋口 昌章 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (20372443)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | パイエル板 / 自然リンパ球 / 腸内細菌 / IgA / IL-22 |
Outline of Annual Research Achievements |
腸管には,数千の種より構成される10の12乗個もの細菌が存在し,その細菌叢は人体へ影響を与えることが報告されている.この細菌叢は各人で異なっており,肉食・菜食中心などの食生活が影響していることが知られている. 腸管においては,IL-22を産生する自然リンパ球 (ILC) が他の組織より高頻度で存在し,これらが腸内細菌を制御していると考えられている.腸管のなかでも小腸に点在するパイエル板は,体内に位置付けられるのにもかかわらず,細菌が常在し,独特な性質を有している.パイエル板においては,外部より特段の刺激を与えることなくIL-22産生が認められ,自律的にIL-22産生を誘導し,恒常的にパイエル板内部の細菌を制御していると考えられる.一方,腸管において産生される抗体は,IgAを主として,腸内細菌の体内への侵入を阻止するだけでなく,腸内細菌のポピュレーションを制御していると考えられる. 本研究では,IL-22産生細胞の機能を解析するため,IL-22産生細胞をGFPでマーキングできるノックインマウス樹立のためのES細胞を樹立した.今後,これを用い,そのマウスを樹立する.また,パイエル板細胞より樹立したハイブリドーマにより産生されるIgA, IgG1及びIgG2bの特異性を検討した.その結果,IgAは核酸に対するものがほとんどであったのに対し,IgG1及びIgG2bは食餌成分に応答するものが存在した.これらにより,パイエル板において誘導される抗体はアイソタイプにより,抗原の特異性が異なることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,IL-22産生細胞を解析するためのノックインマウスのためのES細胞を樹立した.また,パイエル板細胞より樹立したハイブリドーマにより産生される抗体の特異性を検討した.
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Strategy for Future Research Activity |
ノックインマウスを樹立する.その後,樹立したマウスをもちいて,IL-22産生細胞の同定および表現型の解析,次いで,IL-22産生細胞のin vivoでの局在の解析を行う. パイエル板において誘導されるIgAの特異性が腸管内のIgAを担っているかどうかを検討するために,粘膜固有層より同様にIgA産生ハイブリドーマを樹立し,そのIgAの特異性を観察する.また,IgA産生を誘導する因子を探索する.
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Causes of Carryover |
物品の在庫切れのため納品が遅れ、次年度納品となった。また、数点がキャンペーン価格で購入できたため、差額分を次年度使用とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
試薬,プラスチック器具等,消耗品として使用する.
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Research Products
(2 results)