2016 Fiscal Year Research-status Report
山菜の放射能汚染の季節変化と採取時の汚染リスク判定法
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15K07496
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
清野 嘉之 国立研究開発法人森林総合研究所, 総務部, 再雇用研究専門員 (10353666)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤間 亮夫 国立研究開発法人森林総合研究所, 震災復興・放射性物質研究拠点, 再雇用研究専門員 (40353552)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 野生山菜 / 放射能 / 植物季節 / 経年変化 / フキ / コシアブラ |
Outline of Annual Research Achievements |
放射能汚染した山菜を採取するリスクを減らす手法の開発を目的に、放射性セシウムが移行しにくいフキと移行し易いコシアブラについて、固定試験地で放射性物質濃度の季節変化を調べた。セシウム137濃度は、フキでは上木のある試験地では春より夏の方が高く、上木のない試験地では明確な季節変化を示さなかった。コシアブラでは春が最も高く、夏に向けて漸減した。植物体の放射性セシウム濃度は種や、同じ種でも環境条件によって異なるので、汚染された山菜を採取するリスクを減らすには、特定の種を避けたり、生育地の放射能汚染の程度を意識することが重要である。種名や環境の放射能汚染の程度をパラメータにもつ、山菜の放射能濃度の予測モデルを試作した。また、モデルの検証のため、多種の山菜の検体収集を開始した。これらの成果は学会で公表するとともに、山菜の放射能汚染対策に取り組む国や県、市町村、団体と協力して、関連事業の成果評価や新規事業の試験設計に活用した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標に沿って、山菜の放射能汚染の季節変化を解明し、地上部除去処理も施して検体採取を続けた。コシアブラの地上部除去処理木の一部でノウサギ害が発生し、2割の個体が枯死した。新たな被害への対策は施したものの、今後の被害状況によっては処理影響の評価は難しくなるかも知れない。山菜の放射能汚染度を予測するモデルの作成は順調で、関連団体と連携してモデルの検証に利用できるデータを増やすことができた。成果の学会公表や、委員活動などを通した国や県の事業への普及に努めたことから、進捗状況はおおむね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
山菜の放射能濃度の予測モデルの検証のため、多種の山菜の検体収集を続ける。放射能濃度の経年変化に明瞭な種特性があることから、その予測モデルへの反映を図る。山菜の出荷制限の解除を目指す山菜の生産者や関係の国、県、市町村と連係することにより、本研究課題で得られた科学的データの活用に努める。
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Causes of Carryover |
予定価格と落札価格が異なるなどにより発生した差額である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費の一部として使用する。
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