2015 Fiscal Year Research-status Report
養殖環境中の多剤耐性菌が利用する遺伝子伝達メカニズムとその多様性
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15K07531
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| Research Institution | Dokkyo Medical University |
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Principal Investigator |
野中 里佐 獨協医科大学, 医学部, 助教 (70363265)
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| Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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| Keywords | 遺伝子伝達 / プラスミド / 薬剤耐性 / 染色体への組み込み / トランスポゾン / インテグラーゼ |
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| Outline of Annual Research Achievements |
①新規プラスミドpSEA1の受容菌クロモソームへの組み込み機構の解明
養殖場より分離した多剤耐性菌Vibrio sp. 04Ya108株が保有する伝達性多剤耐性プラスミドpSEA1は伝達された後に受容菌クロモソーム上に挿入される。本年度はこの分子メカニズムを明らかにするために、pSEA1の全塩基配列を決定した（DDBJへ登録済）。pSEA1は全長約320kbであり、7つの薬剤耐性遺伝子および接合伝達を担うtra遺伝子群を有していた。traI遺伝子を用いて既知のプラスミドとの比較系統解析を行った結果、MOBHグループに分類される新しいプラスミドであることが明らかになった。さらにpSEA1上の13kbの領域は切り出されて環状化していることおよびインテグラーゼをコードしていることからトランスポゾンであることが示唆された（Tn6283として登録済）。Tn6283はpSEA1上では1コピーであったが、本プラスミドが受容菌の染色体上に組み込まれた際には2コピーに増え、さらにpSEA1の両端に配置されていたことから、pSEA1の染色体上への組み込みに重要な役割を果たしていると考えられた。
②養殖場由来多剤耐性菌が利用する遺伝子伝達因子の多様性の解明
愛媛県、台湾の養殖場およびタイの養豚場排水より分離した薬剤耐性菌についてtraI遺伝子を指標に伝達因子を調べたところ、既知の伝達性プラスミドやintegrative conjugative elementsとよばれる細菌クロモソーム上を遺伝子が移動する機構を利用していることが示唆された。一方、これらの伝達因子が検出されない株が1株あり、既知のものとは異なる遺伝子伝達因子を持つことが示唆された。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
①新規プラスミドpSEA1の受容菌クロモソームへの組み込み機構の解明
プラスミドpSEA1の全塩基配列の決定および受容菌染色体上での挿入部位の特定を行うことができ、計画は予定通り進行している。
②養殖場由来多剤耐性菌が利用する遺伝子伝達因子の多様性の解明
計画していたすべての地域の養殖場あるいは養豚場排水から、耐性遺伝子を伝達する能力のある菌株を予想より短期間で分離することができた。そのため、平成28年度に行うことを予定していた分離株の遺伝子伝達性について、平成27年度内に結果を得ることが可能となった。さらに未知の伝達性因子をもつと予想される株が含まれていたことから、今後の解析により計画通り新規の遺伝子伝達機構の発見につなげることができると考えている。
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| Strategy for Future Research Activity |
①新規プラスミドpSEA1の受容菌クロモソームへの組み込み機構の解明
今後はプラスミドpSEA1の受容菌染色体上への組み込みが部位特異的であることを明らかにし、pSEA1の組み込みが起こる分子メカニズムをpSEA1上にコードされるトランスポゾンTn6283の機能に着目して明らかにする。
②養殖場由来多剤耐性菌が利用する遺伝子伝達因子の多様性の解明
既知の遺伝子伝達因子をもつものを遺伝子供与菌として接合伝達実験を行い、伝達されているプラスミドのサイズまたは染色体への組み込みを明らかにする。さらにこれまでに養殖場から分離された菌のうち、既知の遺伝子伝達因子をもたないものについて、これを遺伝子供与菌として得られた接合体の全ゲノム解析を行い、その分子機構の解明を行う。
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| Causes of Carryover |
予定していたよりも多くの外注による解析費用が生じる見込みが発生したため、当初申請していた小型振盪培養装置の購入台数を減らした。さらに本機器が他研究者により導入されたため、購入台数を控えても当面の研究継続が可能となった。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
細菌ゲノム解析費用（外注）25万円×8サンプルに使用する予定である。
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Research Products
(3 results)
