2016 Fiscal Year Research-status Report
琉球列島におけるシガテラ毒魚の年齢と成長が毒性に及ぼす影響評価
Project/Area Number |
15K07556
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
立原 一憲 琉球大学, 理学部, 准教授 (70264471)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | バラハタ / オジロバラハタ / シガトキシン / シガテラ中毒 / 年齢と成長 / 琉球列島 |
Outline of Annual Research Achievements |
シガテラ毒魚であるバラハタ(248個体)とオジロバラハタ(340個体)の年齢、成長、成熟および食性を解析した。最大体長・最高年齢は、バラハタが639㎜・20歳、オジロバラハタが367㎜・15歳であった。バラハタは7歳、オジロバラハタは6歳まで急速に成長した後、成長が停滞した。産卵期は、バラハタが4~10月、オジロバラハタが5~11月と推定された。最小成熟体長とその年齢は、バラハタが333㎜・4歳、オジロバラハタが184㎜・2歳であった。雄は、両種ともすべて成熟しており、性転換後すぐに繁殖に参加できると推測された。%IRIは、両種とも硬骨魚類が95%以上を占めた。両種とも小型の時には甲殻類も摂餌するが、大きくなるに従い、硬骨魚類の割合が増加した。バラハタは、400㎜以上になると硬骨魚類の加え、軟体動物(タコ類)を捕食し始めた。両種の餌生物の中には、熱帯域でシガテラ中毒の原因種となるニザダイ科やウツボ科魚類が含まれていた。 シガテラ毒を解析した結果、シガトキシンが検出された個体は、バラハタ55.4%(82/148個体)、オジロバラハタ47.1%(66/140個体)であった。両種とも大型個体ほど有毒個体の割合が増加した。しかし、強毒個体は両種とも1個体しか出現しなかった。市場でコールタールと呼ばれ、シガテラ毒を持つとされる黒変個体は、通常体色のものとシガテラ毒性に差がなかった。沖縄県下では、バラハタ・オジロバラハタが大量に流通しているが、シガテラ中毒はごくまれにしか発生していない。大型個体を大量に摂食しない限り、中毒を起こす可能性は低いことが想定され、調理方法(大型個体を丸ごと食べる可能性のある汁物など)に気を付ければ、中毒の発生を抑えられることが強く示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度にバラフエダイ、2年目にバラハタとオジロバラハタの年齢と成長、成熟、食性を解析し、種毎に体長別のシガテラ毒性の強さと有毒率を解明できた。バラフエダイは、宮古島周辺海域の個体に強毒を持つものが多かった。バラフエダイは、基本的に食用に供することは避けるべきであると判断された。一方、バラハタとオジロバラハタは、有毒個体の割合が高いものの調理方法や摂食量に注意すれば、中毒を回避できると考えられた。これらの内容の一部は、魚類学会と水産学会で口頭発表済みである。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である平成29年は、ドクウツボを主とする大型ウツボ科魚類の年齢と成長、成熟、食性およびシガテラ毒性を解析する。さらに、バラハタ類の餌生物として出現したシガテラ中毒の原因種となる魚類(ニザダイ科)の生活史情報と胃内容物の毒性解析を並行して行う。さらに、これまで解析した種を合わせて、総合的に琉球列島周辺海域におけるシガテラ毒魚について考察する。
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Causes of Carryover |
年度末に購入を予定していたサンプルが、荒天などのために水揚げされず、標本の購入資金が余ってしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度の予定していた使用内容はそのままとし、繰り越した全額をサンプル購入に充てる。
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Research Products
(1 results)