2016 Fiscal Year Research-status Report
紅藻スサビノリに特有な乾燥耐性付与タンパク質の同定
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15K07582
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
山口 健一 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 准教授 (90363473)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑野 和可 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 教授 (60301363)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | スサビノリ / LEA / 熱可溶性タンパク質 / 遺伝子クローニング / PCR-RFLP / アマノリ属 / 乾燥耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
紅藻アマノリ属スサビノリは、アマノリ属の中でも強い乾燥耐性をもつ種として知られているが、スサビノリの乾燥耐性の分子メカニズムは不明である。我々は、スサビノリ葉状体から熱水中でも変性・凝集沈殿しないHeat-soluble(HES)タンパク質群を見出し、HESタンパク質画分が乾燥感受性酵素(乳酸デヒドロゲナーゼ)に対する乾燥変性保護作用を有することを明らかにしている。本研究では、HESタンパク質群の化学構造解析、HESタンパク質の単離、同アマノリ属の漸深帯生育種(乾燥感受性種)との比較生化学的解析によるスサビノリ特有の乾燥耐性付与タンパク質を同定することを目的としている。平成27年度は、HESタンパク質画分のプロテオーム解析により、少なくとも3種の新規LEA様タンパク質(暫定的にHES1, HES2, HES3と命名)が存在することを示した。今年度は、HES1とHES2の遺伝子クローニング、大腸菌発現系の構築、組換えタンパク質(rHES1およびrHES2)の抗体作成を行うとともに、アマノリ属の漸深帯生育種のサンプリングを行い、PCR-RFLP法による種同定(カイガラアマノリ、ウタスツノリ、スサビノリ隠蔽種)を行った。HESタンパク質は、緑色植物のLEAタンパク質とは構造的に異なる親水性モチーフのリピートから成る新規性の高いLEA様タンパク質であることが遺伝子クローニングとシーケンシング、質量分析により確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
抗HES抗体を用いた乾燥耐性種(スサビノリ)と乾燥感受性種(カイガラアマノリおよびウタスツノリ)との比較生化学的や比較プロテオーム解析を行う準備が整ったため、平成29年度の実験によりスサビノリ特有の乾燥耐性付与タンパク質を同定できるものと期待できる。したがって、おおむね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
ウエスタンブロット法と比較プロテオーム解析(SDS-PAGEおよび2D-PAGE)により、乾燥耐性種(スサビノリ)と乾燥感受性種(カイガラアマノリおよびウタスツノリ)のHES組成について比較定量し、スサビノリ特有のHESタンパク質を同定する。同定されたHESタンパク質を単離し、乾燥変性保護作用を調べる。
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Research Products
(4 results)