2017 Fiscal Year Research-status Report
食品ロスの測定を通じた食料需給システムの効率性と環境負荷に関する国際比較
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15K07627
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
小林 富雄 愛知工業大学, 経営学部, 教授 (60592805)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野見山 敏雄 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (20242240)
波夛野 豪 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (30249370)
種市 豊 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (40640826)
相原 延英 名古屋文理大学, 健康生活学部, 准教授 (30734553)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 食品ロス / 食品廃棄物 / 食品リサイクル / フードバンク / カルフール / 食品寄付 / CSV |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の欧州調査と共同研究者間での議論を踏まえて、食品ロス削減の普遍的なモデル化を図るため、アジアのケーススタディを進めた。これまでの調査で台湾やオーストラリアなどの取り組みが活発化していることが分かり、予算配分を調整し、台湾の食品ロスとフードバンク調査を実施した。 2017年に行政院環境保護署廃管処が発表した「搶救剰食大作戦 環保署力推剰食循環経済」によると、未開封で期限が切れてしまったり、外観が悪かったりしたために廃棄される食品は3万6,000tになり、これは金額に換算すると38億台湾元に相当するという。家庭系の生ごみは分別回収され肥料や堆肥へのリサイクルが実施されており回収現場も目視で確認できたが、排出時間が決められ不便なため有料で生ごみを廃棄している実態も把握できた。 台中市フードバンク自治条例により過剰食品の寄付も盛んになりつつある。その背景にはフランス資本の大規模小売業であるカルフールのCSV(Creating Shared Value)活動が大きく寄与しており、赤十字との包括的な協力体制のもとATF(Alliance of Taiwan Foodbanks)という全国組織を作り、自社の100店舗からフードバンクへの寄付物流網を整備している。また、カルフール文教基金会では3台の冷凍車、14軒の食品ロス食材を利用したレストラン、7つのコミュニティ冷蔵庫(Community Fridges、CF)に出資している。レストランは、地域住民が安価で利用できるコミュニティにもなっており、地域の子どもの勉強や青年が起業の勉強をする場にも利用されている。CFは貧困者の多い地域のFBやレストランの前に設置され、FBの担当者が定期的にCFに寄付食材を投入し、地域の貧困者が取りに来るものである。 以上の研究実績に対して、国内外の学会報告、学会誌へ投稿済みで研究成果の公開に向けた準備を進めている。またモデルの精緻化も図り書籍化も検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は韓国調査を実施する計画であったがH28年度に終了し、2018年1月にBritish Food Journalに研究成果が掲載された。そのため新たな課題としてH29年度は台湾調査を完了し、研究成果をH29年度に国内学術誌に投稿済み、H30年度中には刊行される予定である。 以上の点では計画以上に進展したが、共同研究者が体調不良によりリスクマネジメントの分野で立ち遅れた。そのため、研究期間を1年延長し、H30に追加調査を踏まえてより完成度の高い研究成果を得る計画である。
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Strategy for Future Research Activity |
共同研究者が1名昨年度調査に同行できなかったことから、事業期間を延長した。 グローバルに進む各国の食品ロス対策を、1つのシステムとして捉えモデル化を進め予定である。ただし、世界各国の食品ロス対策は、当初想定していたスピードよりも遥かに早く進んでいる。特に台湾ではフードバンク推進法の制定に向け動き出している。また日本でも食品ロス削減推進法案(議員立法)が今国会期中の成立に向け進んでいる。 このような現状を素早くキャッチアップをするため、予算制約があるなかで、欧州とアジア・オセアニアに的を絞り、その動向を確実に把握しながら、暫定的にモデルを示すことを優先する。 モデル精緻化のため補足的にオーストラリア調査をH30年度に実施し、本事業の最終年度として残された課題をすべて整理しながら研究をすすめる予定である。北米の調査は先行研究が多いためそれを参考にしながらも、現地調査は今後の課題とする。
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Causes of Carryover |
平成29年度を最終年度とし、それまでの調査結果からモデル化を進める予定であったが、共同研究者の相原氏(名古屋文理大学)が体調不良により調査に参加できず費用分が未使用となった。調査と実績については、相原氏以外のメンバーで分担し多少負担は増えたものの無事完了した。 平成30年度は、他の分野の補足調査も含めてオーストラリアのケースを追加調査し、未使用額はそれらの経費に充て、より汎用性の高いモデルを構築する計画である。
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Remarks |
HPリニューアル予定
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Research Products
(13 results)