2015 Fiscal Year Research-status Report
カンボジア農村の豊かさを回復する:子供の食改善から考える農村機能向上プログラム
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15K07633
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
宮本 和子 山梨大学, 総合研究部, 教授 (60295764)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米倉 雪子 昭和女子大学, 人間文化学部, 准教授 (60566389)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 乳幼児低体重実態調査 / 栄養健康教育 / 栄養改善活動 / 生計記録活動 / 住民参加 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.アクションリサーチの実施:乳幼児体重測定調査と生計記録調査 (1)導入:8~9月に6か村にて住民会議およびトレーニング、健康教育を実施。この内前回調査からの継続は2か村である。体重測定方法と体重曲線シートへの記録方法に関するトレーニングと栄養に関する健康教育を実施し、住民の他薦・自薦で体重測定ボランティアを決定した。生計記録調査のためのトレーニングを実施し、参加者を募った。 (2)体重測定活動と生計記録活動の継続的実施:9月~6か村にて、10月から1か村追加し、乳幼児体重測定活動を実施。ボランティアを中心に協力団体CEDACのスタッフのサポートを受けながら実施中。生計記録は一部参加者はその意義を感じ、継続的に記録しているが、他方では中断する参加者もいた。 (3)平成27年度の調査結果:6か村にて各20~40数名の乳幼児が参加し、体重測定が行われた。前回調査から継続の1か村は国際NGOが大規模な低体重児プログラムを開始したため調査を中断。他の6か村中5か村で3歳児までに成長曲線状で平均以上の体重を示す児はわずかであった。体重低下は生後5~7か月で始まり、5か村で共通していた。1か村は体重増加不良児が少なく、多くの児が成長曲線に沿って発育していた。 2.栄養改善活動の導入:乳幼児体重調査結果を村ごとに検討する住民会議を実施、各村で体重低下の原因を討議。母親が出産後3か月程度で出稼ぎに行き母乳を停止、離乳食・粉ミルク・スナック菓子の問題、乾季の食糧不足、多くの家庭に家庭菜園がない、等が上がった。改善方法を討議、また、失敗しない家庭菜園のための「液肥づくり」の実技演習を実施。 (調査結果の検証)導入時にも栄養健康教育を実施しているが、半年たって多くの参加者が内容を忘れていた。重要なことは何度も繰り返し伝えること、具体的な改善行動につながる仕組みをプログラムに取り入れる必要がある等が解決方法として検討された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対象村のほとんどで導入~ボランティアを中心にアクションリサーチ開始、継続がなされた。しかし、次の3点において若干の課題があるため、「おおむね」順調に進展しているとした。 1.対象村の中途での変更:(1)7か村で9月から活動開始予定であったが、1か村はトレーニング実施間際に参加できない旨、村リーダーから連絡があり、他村に変更することとなった(新村では10月から活動開始)。(2)9月から活動を開始した1か村(前回調査から継続)は、11月から国際NGOが資金規模の大きな栄養改善プログラム実施の対象村として選定し、活動を開始した。このため、本調査の効果を確認することが困難となったため、活動を中断した。 2.外部要因による予定の変更:雨季に少雨であったため、一部対象村では農閑期に村人の多くが出稼ぎに出てしまった。このため、農閑期に計画していた農業トレーニングや村での食事・食品調査が実施困難となった。これらの活動を新年度に実施する予定である。 3.生計記録を中断した参加者が複数見られたため、記録の簡素化・簡易化を行った。新年度より再度参加希望者を募り、説明・フォローアップを行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
1.栄養改善活動では乳幼児体重測定活動を参加型アクションリサーチの手法を用い、継続する。H28年度は体重増加不良児のフォローアップ活動を行いながら、ピア・トレーナー・トレーニングの導入を行う。また、「食材探し」「離乳食実演と村での離乳食検討」を実施する。 2.1に伴い、村での家庭菜園導入と食材の自給促進に関わる農業トレーニングを実施する。 3.生計記録を中断した参加者が複数見られたため、記録の簡素化・簡易化を行った。再度参加希望者を募り、説明・フォローアップを行う予定である。既に記録を継続している者から希望者を募り、ピア・トレーナー・トレーニングを実施する。 4.年度末には全ての調査・活動結果を元に、各村で「『気づき・課題発見』ミーティング」を開催する予定である。
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Causes of Carryover |
H27年度末の出張費等の支払いがH28年度となったこと、また、H27年度に実施予定であった農業トレーニングの実施をH28年度に行うこととなったため(実施できなかった理由は進捗状況の記述の「2.外部要因による予定の変更」に記したとおり、対象となる住民の多くが出稼ぎに出てしまい、各村にいなかったためである)。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
未使用額の内、約20万円はH27年度末の出張費用として、約4万円はH28年度に実施予定の農業経費トレーニングとして使用する。H28年度は外部要因の影響を避ける方策として、7~9月の田植えシーズンには出稼ぎに出ることが少ないため、この時期に対象地域住民と相談のうえ実施日程を決定する予定である。
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