2018 Fiscal Year Annual Research Report
Phosphorus recovery from paddy fields using zooplankton and aquatic organisms
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15K07642
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
花山 奨 山形大学, 農学部, 准教授 (20282246)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 巻貝 / 付着藻類 / 摂食 / リン溶出 / 田面水 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年は、ヒメタニシとモノアラガイによる土壌表面に発生した付着藻類の摂食が、田面水のリン溶出におよぼす影響を調べた。 実験では、300mLビーカーを使った擬似水田(土層厚3cm、水深5cm)に付着藻類を繁殖させ、付着藻類の繁殖後、各巻貝を1匹ずつ投入し、藻類を6日間摂食させた。そして藻類摂食後に各巻貝を除去し、排泄残渣物がリン溶出に及ぼす影響を調べた。 その結果、摂食期間において、ヒメタニシ区およびモノアラガイ区の田面水の全リン濃度は、巻貝を含まない対象区の全リン濃度より約0.8mg/l多くなった。巻貝除去後、全リン濃度はヒメタニシ区で増加せず、モノアラガイ区で増加した。モノアラガイ区における、巻貝除去後から実験終了(約20日間)までの全リン濃度の増加量は、約1.3mg/lであった。両巻貝の排泄残渣物からリン溶出は確認されず、巻貝除去後のモノアラガイ区の全リン濃度上昇は、排泄残渣物からのリン溶出によるものではないと考えられる。また、巻貝除去後の田面水のpHは、両巻貝の未消化の藻類の光合成によって、ヒメタニシ区で約9、モノアラガイ区で約8.5を維持した。田面水のpH上昇によって土壌から田面水へのリン溶出が知られている。モノアラガイ区では、田面水の高pHにおいてリン溶出が確認されたが、ヒメタニシ区ではリン溶出が確認されなかった。以上より、両巻貝による藻類摂食は、藻類からリンを溶出させることが明らかとなった。一方、藻類摂食後のリン溶出は、巻貝の種類によって違いが見られた。各巻貝の藻類摂食が、巻貝除去後のリン溶出に違いを生じさせた要因についてはさらなる検討を要する。
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