2016 Fiscal Year Research-status Report
速度変数計測を導入した植物工場の投入資源最適化環境制御に関する研究
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15K07662
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
古在 豊樹 千葉大学, 環境健康フィールド科学センター, 名誉教授 (90081570)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 植物工場 / 資源利用効率 / 生産コスト / 人工光 / 光合成 / 環境要因 / CO2施用 / LED |
Outline of Annual Research Achievements |
学術図書の出版でAcademic Pressと共に世界的に有名なSpringer社から、LEDを利用した人工光植物工場および太陽光型植物工場に関する書籍(Kozai, T, K. Kazuhiro and E. Runkle, 2016, LED Lighting for Urban Agriculture, p.p.453)を筆頭編著者として出版できたのは大きな成果である。同書には、本研究の中心課題である人工光型植物工場に関する資源利用効率と速度変数に関する成果などが十分に盛り込まれている。 また、人工光型植物工場の社会的、文化的位置づけに関して、ドメス社から出版された「人間と作物」(江頭宏昌編)の1章として「グローバル技術と今後の農業・食文化」を執筆した。さらに、「閉鎖型太陽光植物工場」に関しては、筆頭著者として、「農業および園芸」誌に総説が掲載された。他にも5編の総説を執筆した。 上述の成果は、本研究課題の申請書に述べた研究目的、研究計画、研究方法にそって本研究が実施され、期待した成果がほぼ得られたことを示している。本研究では、実用規模である比較的大型の植物工場で実験が行われているので、そこから得られる成果は、学術的だけでなく農業生産への応用価値が高いことが利点となっている。 他方、本研究分野に関わる研究者の数が世界的に増えつつあり、オリジナルな成果を世界に先駆けて挙げるのがしだいに困難になりつつある。そこで、研究方法論と研究目的のさらなる向上と改善を進めて行きたい。なお、植物工場に関する社会的な期待が高まり、本研究の申請時期に比較して、注目度が高まり、それへの対応に費やす時間が増え、研究時間の確保に対する努力が増している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度に人工光植物工場で実施した研究方法を改善して、28年度も引き続いて人工光型植物工場において同様な研究をさらに進展させた。平成27年度中に明らかにされた本研究の物資収支・エネルギー収支方法論的を用いて、28年度には資源利用効率の向上方法に関する研究を行った。 栽培室空間における気温、水蒸気飽差、CO2濃度、気流速度などの分布のバラツキに関わる問題は多点測定による平均化および空気撹拌による均一化などで対応したが, その処理方法に関しては28年度にもさらなる検討を行った。そして, 正味光合成・CO2施用・かん水の各速度, それらの利用効率, および総生産コストに基づいて, 気温, CO2濃度, かん水速度, 気流速度の制御のために必要な投入資源のコストとCO2排出量に対する価値創出量の比を最大にする環境要因設定値の組み合わせを求める方法論を見出した。コストは資源投入量に単価を乗じて, 総コストは各資源のコストの和として求めた。これらの成果は、Springer社から出版された“LED Lighting for Urban Agriculture” (Editors: Kozai, T. et al., 2016) に掲載された。 環境要因の最適組み合わせは, 第一段階としては総コストに対する正味光合成速度の積算値(乾物増加量)の比を最大にするものとして求めたが, 平成29年度では多目的変数の最適化問題として, 本格的に検討する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究分野に関わる研究者の数が世界的に急激に増加している。そのため、オリジナルな研究成果を迅速に学術誌で公表することが次第に困難になっている。 そこで、研究方法論と研究課題に新規性を持たせることの重要性が増している。 本申請課題では、生産販売を実施してる商業規模の植物工場が研究者のオフィスに隣接している利点を活かして、生産現場でしか得られない各種のデータを活かした研究を行うように努めている。 他方、近年、phenomicsなどの新たな研究分野が抬頭してきているので、それら研究者との連携を図りながら、学術基礎を備えた応用研究を進めていきたい。
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Causes of Carryover |
28年度に予定していた以下の3つの国際集会での研究発表が、結果的には、いずれも招待講演となり、国際運賃と大会参加登録料が不要になったことから、予算計上していた国際旅費の支出がゼロとなった。また、研究補助雇用の予算計上していた謝金が予定の額に達しなかった。以上2点が主因となってかなりの年度繰越金が出た。1) 14th China International Forum on Solid State Lighting、北京、中国、2016年11月。2) 2nd Indoor AgCon Asia, Singapore、2017年1月。3)The 5th International symposium on Plant Factory & Agriculture、台湾、2116年6月
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
29年度は研究補助および事務補助に関する謝金支出を倍増し、また、植物工場の環境要因計測および植物画像計測のための機器を数十万円購入する予定である。さらに、最終年度なので研究成果を英文書籍として出版する予定なので、その英文校閲代金の支出として50万円超を予定している。
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Research Products
(17 results)