2017 Fiscal Year Annual Research Report
土壌の熱的物理特性を考慮した地中熱ヒートポンプの採・放熱効率の向上
Project/Area Number |
15K07672
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
岩田 幸良 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門, 上級研究員 (70370591)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 地中熱ヒートポンプ / 省エネ技術 / 水平型熱交換器 / 地温 / 温室 / 冷暖房 / 数値シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに、一般的な水平型地中熱ヒートポンプの熱交換器として採用されているスリンキータイプと、本研究課題で試みた直管タイプの熱交換器を、農研機構農村工学研究部門の試験圃場の深さ1.5mに設置した。今年度は、各熱交換器により、同じ条件でヒートポンプを稼働させ、温室の冷暖房を行った。その結果、スリンキータイプに比べ、直管タイプの熱交換器を用いた場合には、ヒートポンプ本体に供給される不凍液の温度が冷房時に最大で4℃低く、暖房時で最大4.5℃高いこと等が明らかになった。スリンキータイプの熱交換器も直管タイプの熱交換器もパイプの長さを同じにしたことから、資材費が同じでも温室の冷暖房には直管タイプの熱交換器の方がスリンキータイプの熱交換器よりも省エネ効果が高いことが実証された。 また、地中熱ヒートポンプを埋設した圃場について3次元の数値シミュレーションを実施し、試験を実施した約1年間の熱交換器内の不凍液の温度と圃場の地温の変化を再現した。同圃場で得られた地温の観測値にあうように、土壌の熱伝導率等のモデルパラメータを調整した結果、熱交換器内の不凍液の温度は0.6℃程度、熱交換器近傍の地温は0.9℃程度の誤差範囲内に推定値が収まっており、精度良く温度が再現できることが確認された。そこで、直管タイプの熱交換器を深さ1mに設置した際の不凍液の温度と地温を計算したところ、スリンキータイプの熱交換器を深さ1.5mに設置した場合と同様の不凍液の温度や地温の推移をするという結果になった。直管タイプは構造が単純なことから、深さ1mであれば暗渠の施工技術を応用することで、従来のバックホーを用いて穴を掘る方法よりも容易に施工ができると考えられる。このように、本研究課題の実施により、今回提案した直管タイプの熱交換器が、従来のものよりも省エネ効果に優れ、施工が容易に実施できる可能性があることが明らかになった。
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Research Products
(2 results)