2016 Fiscal Year Research-status Report
非神経細胞に発現する侵害受容器の炎症病態に対する役割解明
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15K07721
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
高橋 賢次 鳥取大学, 農学部, 准教授 (00400143)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 侵害受容器 / TRPA1チャネル / 非神経細胞 / 炎症 / サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、平成27年度に引き続き、非神経細胞に発現する侵害受容器の発現調節機構を明らかにした。侵害受容器の1つであるTRPA1チャネルは肺がん由来A549細胞に発現している。A549細胞に炎症性サイトカインであるIL-1αを適用するとextracellular-regulated kinase(Erk)の活性化を介してTRPA1チャネルの感受性が増加した。この現象はIL-1αによってTRPA1チャネルの発現量が増加したと考えられたが、IL-1α処理群と対象群のTRPA1チャネルの発現量に差が見られなかった。TRPA1チャネルはカルシウム透過性のイオンチャネルであり、細胞表面での発現が必要であることが考えられた。そこで、TRPA1チャネルの細胞表面の発現量を比較したところIL-1α処理群のそれは対象群に比して増加していることが明らかとなった。更には、このIL-1αによるTRPA1チャネルの細胞表面の発現量の増加はErk阻害薬によって減弱した。したがって、A549細胞において炎症性サイトカインIL-1αはErkを活性化し、TRPA1チャネルの細胞質から細胞表面への膜移行を促進する働きがあることが考えられた。これらの結果から、肺組織などでは炎症環境下で炎症性の因子に曝されると非神経細胞のTRPA1チャネルの細胞表面の発現と機能が亢進し、これらの細胞の活性化も炎症応答に関与する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、昨年度に引き続き非神経細胞に発現する侵害受容器の発現調節機構を明らかにした。炎症性サイトカインによりこの侵害受容器の細胞表面での発現が亢進することを明らかにした。このことは神経細胞以外の細胞においても痛みのセンサーである侵害受容器が機能することを示唆するものであり、炎症環境下で応答が増大しうることを示している。これらの調節は炎症応答を制御する上で重要であることを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの成果を更に発展させ、肺組織中での炎症環境下における非神経細胞のTRPA1チャネルの発現調節機構を明らかにするとともに、新たな非神経細胞における侵害受容器の役割を探索する。
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