2015 Fiscal Year Research-status Report
ハマキガの産卵が引き起こす誘導とその発現機構の解明
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15K07790
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
戒能 洋一 筑波大学, 生命環境系, 教授 (20183775)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 奈都子 筑波大学, 生命環境系, 助教 (80716879)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 寄生蜂 / 三者系 / HIPV / エリシター / 誘導 |
Outline of Annual Research Achievements |
茶樹害虫チャノコカクモンハマキ(以下ハマキガ)の卵ー幼虫寄生蜂であるハマキコウラコマユバチ(以下コマユバチ)は、寄主であるハマキガ卵塊の茶葉への接着によって誘導が引き起こされ、この葉はコマユバチの探索行動を刺激することがわかっている。この誘導を引き起こす卵塊由来のエリシターの効果は、ハマキガのメス成虫の腹部摩砕物を茶葉に処理しても同様の誘導が起き、メス蜂は誘導の起きた葉に対して長い時間反応する。オスのハマキガの腹部摩砕物を処理した場合には、誘導は引き起こされなかった。これらのことから、エリシターは寄主ハマキガのメス腹部由来の器官に含まれるものと思われる。コマユバチの寄主ではないが同じハマキガ科のチャハマキのメス腹部摩砕物を茶葉に処理すると、誘導は起きなかった。また、寄主でないアワノメイガのメス腹部摩砕物を茶葉に処理すると、対照区と比較して探索行動はより短くなり、逆の効果を引き起こすエリシターの存在が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定した、エリシターの種特異性についてのデータを得ることができた。今後は、非寄主昆虫を数種類試して、アワノメイガに類似した結果が得られるかどうかを調べる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、エリシターの種特異性の解明に加え、産卵により茶葉に誘導が引き起こされる機構を解明するための手段として、遺伝子の発現解析を行う。ハマキガの腹部摩砕物を種々の植物の葉裏に処理し、誘導が起きるかどうかを生物検定で調べる。その結果に基づき、誘導が起きる植物と起きない植物を分類分けし、誘導が起きる植物種においてハマキガの産卵により茶葉の産卵部位周辺にどのような遺伝子発現の変化が見られるかマイクロアレイで網羅的に解析する。コマユバチの葉への反応と遺伝子発現状態を比較し、誘導条件下で特異的に活性化される生化学経路を探索し、コマユバチの探索行動を刺激する誘導物質を同定することを目的とする。
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Causes of Carryover |
最終の会計処理において若干の計算誤差が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度への繰越金とした。
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