2016 Fiscal Year Research-status Report
Development of foliar spray-type biopesticide against soil-borne diseases
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15K07811
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
清水 将文 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (60378320)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | トマト / 青枯病 / 生物防除 / 内生細菌 / 地上部処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の研究で選抜したBacillus simplexの効果は不安定であり、繰り返し試験の中で発病を全く抑制できない場合があった。そこで、昨年度に引き続き、トマト茎葉から新たに86株の耐熱性細菌を分離し、トマト青枯病に対する生物防除活性をシードリングバイオアッセイ法で評価した。その結果、8菌株がトマト幼苗の発病を60%以上抑制した。16S rRNA遺伝子解析から、これら8菌株はいずれもBacillus属菌であることがわかった。8菌株のうち1菌株は、ヒト病原菌の近縁種であったことから、候補から除外し、残り7菌株(以下、候補菌)についてさらに解析を進めた。地上部処理で青枯病の発病を抑制できるかを明らかにするため、トマト苗に2通りの方法で各菌株を処理し、青枯病抑制効果を評価した。処理方法は、1)茎葉散布法:候補菌の洗浄細胞液をトマト苗の茎葉に5日間隔で散布、2)葉柄切断法:下位第1本葉の葉柄基部を、候補菌細胞懸濁液を吹き付けたハサミで切り取る、である。候補菌処理2日後に青枯病菌を潅注接種し、発病の推移を3週間にわたり調査した。その結果、B. velezensis GEBT443、B. amyloliquefaciens GEBT445、B. ginsengihumi GEBT457、Bacillus sp. GEBT460、B. subtilis GEBT490が、両処理方法で安定した発病抑制効果を発揮した。葉柄切断法は、茎葉散布法に比べて生物防除菌の投入量を大幅に削減でき、かつ摘葉などの管理作業と組み合わせることで効率的に処理できるという利点があり、当初目標としていた茎葉散布よりも実用性の高い生物防除法となる得ると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定では、前年度までに選抜した候補菌の青枯病以外の土壌病害に対する防除効果を検討するなどの実験を予定していたが、現在までのところその実験には着手できていない。しかしながら、茎葉散布法よりも、より効率的・実用的な葉柄切断法という新規手法で青枯病を抑制できる可能性を見出した点は、当初予定を上回る成果であると考え、全体としては概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、昨年度の試験で選抜した5菌株について、引き続きポットレベルでの選抜試験を繰り返して菌株の絞り込みを行うとともに、圃場試験で選抜した候補菌株の青枯病抑制効果を評価する。また、並行して他の土壌病害に対する防除効果の検討、病害抑制機構(特に抵抗性誘導)の解析を行う。これら一連の成果に基づき、特許出願並びに学会及び学術論文で成果発表を行い、実用化の基盤を固めたい。
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