2017 Fiscal Year Research-status Report
SrcによるDNA損傷応答不活性化機構の解析と新規がん治療戦略への展開
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15K07920
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
福本 泰典 千葉大学, 大学院薬学研究院, 講師 (10447310)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 直人 千葉大学, 大学院薬学研究院, 教授 (00166620)
中山 祐治 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (10280918)
山口 憲孝 千葉大学, 大学院薬学研究院, 准教授 (80399469)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | DNA損傷応答 / ATR / Rad17 / 9-1-1 / タンパク質-タンパク質相互作用 / 翻訳後修飾 / リン酸化 |
Outline of Annual Research Achievements |
[Rad17タンパク質の解析] DNA損傷応答に関わるRad17タンパク質について、リン酸化を介するシグナル伝達経路による制御について解析を行った。Rad17タンパ質のC末端には、酸性アミノ酸に富む配列(以下「Rad17 C末テール」とする)が存在する。H28年度にRad17 C末テールが9-1-1複合体との相互作用に関わること、C末テールに存在するIxxYxSモチーフが相互作用に重要であることを見出した。H29年度においては、Rad17 C末テールがセリンリン酸化による翻訳後修飾を受けることを見出した。培養細胞にRad17タンパク質を過剰発現し免疫沈降により精製した結果、Rad17タンパク質の恒常的セリンリン酸が検出された。このリン酸化は紫外線照射によって阻害されたため、これまでに報告のあるRad17のATM/ATRによるリン酸化とは異なる新規のリン酸化部位である可能性が示唆された。Rad17タンパク質の変異体を用いて検討した結果、Rad17 C末テールの欠失変異体でリン酸化が消失した。さらにIxxYxSモチーフの変異によってC末テールのリン酸化は消失し、Rad17 C末テールがリン酸化を受けることが示された。このリン酸化に関与するキナーゼを探索した結果、キナーゼXの阻害剤によってC末テールのリン酸化は消失した。さらにキナーゼXの阻害剤によってRad17と9-1-1複合体との相互作用は消失した。従って、キナーゼXによるRad17 C末テールのリン酸化が9-1-1複合体との相互作用に重要であると示唆された。 以上の解析からATR経路がRad17のリン酸化を介してキナーゼXによって制御されていることが見出され、キナーゼXの関わるシグナル伝達経路がATR経路を制御する可能性が示唆された。チロシンリン酸化シグナルとのクロストークに期待している。
[その他] H28年度の成果をまとめた論文を”The polyanionic C-terminal tail of human Rad17 regulates interaction with the 9-1-1 complex”としてBiochem Biophys Res Communに発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H28年度の成果をまとめた論文が既に発表済みである。またH29年度の成果をまとめた論文も現在投稿中である。さらにH30年度の計画についてもH29年度中に予備データを得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
H29年度の成果を引き継ぎ、Rad17 C末テールのリン酸化による翻訳後修飾を介したATR経路の制御について解析を行う。H29年度にキナーゼXの関与を見出したが、さらに他のキナーゼが関与する可能性を示唆する予備データが得られている。従って、複数のキナーゼまたはシグナル伝達経路がRad17 C末テールを介してATR経路を制御する可能性について検討する。 またH29年度に引き続き、Rad17の他のキナーゼによる制御については継続して検討する。
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Causes of Carryover |
(理由)不要な経費を節約し、さらに研究のポイントを明確に絞った結果として次年度使用額が生じた。
(使用計画)次年度の物品費に充てる。またH29年度の成果をまとめた論文が投稿中であるため、この論文の修正実験に伴って発生する経費に充てる。
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