2016 Fiscal Year Research-status Report
三量体G蛋白質シグナル依存的Rho活性化因子の構造生物学的解析による機能解明
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15K07927
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
上田 浩 岐阜大学, 工学部, 教授 (50253779)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 善一郎 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 教授 (90303502)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | PLEKHG2 / FHL1 / 三量体Gタンパク質 / アクチン / Rho / Src / チロシンリン酸化 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度得た結果を踏まえ、Rho活性化因子であるPLEKHG2と三量体Gタンパク質Gαsサブユニットとの相互作用部位を同定し、それらの結果をまとめ、論文を提出した。(Cell. Signal.)また、アダプタータンパク質であるFHL1との相互作用による活性化機構についても、本年度、論文を提出した。(J. Biol. Chem.)さらに、PLEKHG2と相互作用する三量体Gタンパク質βγサブユニットおよびGαsサブユニットの効果が、FHL1との相互作用により、どのような影響があるのかについて、検討を行い、それぞれのサブユニットとPLEKHG2との相互作用部位との結合に、FHL1が影響していることを見出し、それらについてお現在、論文投稿準備中である。過去、cSrcによりPLEKHG2がチロシンリン酸化され、リン酸化された489番目のリン酸化チロシン残基に、他のチロシンキナーゼで、がん化に関係があることが知られているABL1が、SH2ドメインを介して結合することを報告した。本年度は、この報告時に、ABL1がチロシンリン酸化非依存的にPLEKHG2に結合することも見出していたことから、このリン酸化非依存的な結合に着目し、さらにその詳細を検討した。その結果、ABL1とPLEKHG2とそれぞれの相互作用部位を同定することができた。また、この相互作用が、PLEKHG2の活性を抑制する働きがあることも、見出した。さらに、過去我々が報告したPLEKHG2と細胞内アクチンとの相互作用が、この抑制に関与していることも明らかになった。現在、この結果について、論文投稿準備中である。以上のことから、本年度は、さらに新たなPLEKHG2との相互作用分子を見出し、今まで報告した分子との関係性について検討することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、今まで行ってきた実験結果をまとめ、論文にまとめることができた。また、ABL1などの新たな相互作用分子の同定も行うことができ、よりPLEKHG2と他の相互作用分子との関係を詳細に検討するツールを増やすことができた。さらに、研究を進める過程で、PLEKHG2のタンパク質をどの程度の大きさで大腸菌内で調製できるか、また、カイコの系に応用できるかどうかの検討する材料を得ることができた。これらの観点から、おおむね計画通りに遂行できたと考えた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、本研究の最終年度であり、構造学的にPLEKHG2が種々の相互作用分子とどのような相互作用をしているのかの詳細を明らかにすることを目指す。現在、PLEKHG2の全長または、活性中心と考えられるDHドメイン、PHドメインを含む1から480番目までのアミノ酸領域についてのGST融合タンパク質作製をめざし、検討中である。Gαsとの相互作用を見るため、少量のGST融合タンパク質を調製した際には、全長のタンパク質を大腸菌で調整することはできなかったが、1から440番目付近のアミノ酸領域のタンパク質を作製することが可能であることは、明らかにした。これらの結果から、PLEKHG2のN末端領域のタンパク質を大量に調製する系を大腸菌及びカイコを使用し構築したいと考えている。また、最近、PLEKHG2と類似の構造を持ったPLEKHG1についても、各種三量体Gタンパク質との相互作用様式とSrcファミリーチロシンキナーゼによるチロシンリン酸化の役割について、検討をはじめている。このことから、PLEKHG1についても、どのくらいの長さのポリペプチドを大量調製できるのかについて、検討し、その情報をPLEKHG2の大量調製にいかしていくことを考えている。
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Causes of Carryover |
本年度使用した試薬類等を購入する際、予定より少し安価であった試薬や、使用料が少なくて済んだ試薬類などがあったため、それらの差額が累積しした結果、この金額が生じてしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、この残金を合計した予定額を、計画を進めていくうえで、より安価な物品の購入を求めると同時に、研究計画が予定通り遂行できるよう、より詳細に考え、物品の購入する。
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