2016 Fiscal Year Research-status Report
危険ドラッグとして乱用されるカチノン誘導体の構造活性相関に関する研究
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15K08059
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
辻川 健治 科学警察研究所, 法科学第三部, 主任研究官 (50356193)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | カチノン誘導体 / モノアミンオキシダーゼ / 構造活性相関 |
Outline of Annual Research Achievements |
カチノン類は危険ドラッグの代表的な系統のひとつである。本薬物は中枢興奮作用を有するが、その活性は、主にモノアミンオキシダーゼ阻害作用とモノアミン再取り込み阻害作用に起因すると考えられる。 カチノン類は、各種官能基(ベンゼン環上の置換基の種類、直鎖アルキル鎖の長さ、アミノ基の種類)を変えることで多様な化合物を派生させることができる。この手法によって、次々と新しいカチノン類が生みだされ、法規制を逃れてきた。しかしながら、カチノン類の化学構造と薬理作用の関係については、十分な検討が行われていないため、生み出されてきた新しいカチノン類がどのような薬理活性を有するか明らかではない。そこで、本研究では、これら官能基の異なるカチノン類(その予想代謝物も含む)を多数合成し、化学構造と薬理活性の構造活性相関について検討を行うことを目的とした。 今年度は最近欧州で乱用が確認された、直鎖アルキル鎖末端がメトキシ基に置換されたカチノン類(メキセドロン)の合成を行うとともに、化学的な安定性についても合わせて検討した。また、カチノン類の主代謝産物と予想される、ケトン基の還元体についてジアステレオ選択的な合成法を開発した。 合成した化合物のモノアミンオキシダーゼ阻害活性を測定するため、専用のキットを用いたプロトコールの作成を行った。しかしながら、マイクロプレートリーダーの故障により、モノアミンオキシダーゼ阻害活性の測定を行うことができなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
他の業務多忙と、実験装置(マイクロプレートリーダー)の故障の影響で、薬理学的な実験に着手することができておらず、試験に供するカチノン類の合成のみを行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在異動により研究所と警察庁本庁の兼務となっているため、実験を行う時間が今まで以上に取れなくなることが予想される。したがって、効率的な研究を行う必要がある。今後は、カチノン類のモノアミンオキシダーゼ阻害活性の測定のみに専念するとともに、研究期間の1年間の延長も視野に入れる。
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Causes of Carryover |
マイクロプレートリーダーを購入ではなくレンタルで使用しているため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
マイクロプレートリーダーのレンタル費用に充当する予定である。
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