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2017 Fiscal Year Research-status Report

精巣組織はどこまで免疫学的に守られているのか?

Research Project

Project/Area Number 15K08159
Research InstitutionTokyo Medical University

Principal Investigator

伊藤 正裕  東京医科大学, 医学部, 教授 (00232471)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 畑山 直之  愛知医科大学, 医学部, 講師 (80534792)
曲 寧  東海大学, 医学部, 講師 (70527952)
平井 宗一  東京医科大学, 医学部, 講師 (70516054) [Withdrawn]
林 省吾  国際医療福祉大学, 医学部, 准教授 (60349496)
宮宗 秀伸  東京医科大学, 医学部, 講師 (80422252)
李 忠連  東京医科大学, 医学部, 講師 (80319532) [Withdrawn]
永堀 健太  東京医科大学, 医学部, 助教 (50759561)
表原 拓也  東京医科大学, 医学部, 助教 (40800545)
倉升 三幸 (北岡三幸)  東京医科大学, 医学部, 助手 (70468643)
小川 夕輝  東京医科大学, 医学部, 助手 (20529250)
Project Period (FY) 2015-04-01 – 2019-03-31
Keywordsラット / 精巣 / 異所性移植 / 免疫特権
Outline of Annual Research Achievements

平成29年度は、精巣におけるimmune privileged siteの性質を明らかにするために、昨年度我々が免疫学的実験移植モデルとして有用であると報告した異所性精巣移植モデルを用いて、精巣を同系ラットのメスに移植し、オス→オスに移植した場合との免疫応答を比較した。
異所性精巣移植を用いてLEWラットの精巣を同系ラットのオスに移植したオス→オス群とLEWラットの精巣を同系ラットのメスに移植したオス→メス群の2群について移植から3日後に評価を行った。両群において移植精巣における精細管や間質の形態は良好に保たれており、精子形成障害は認められなかった。しかしながら、オス→オス群に比べオス→メス群では移植精巣内の毛細血管および精巣の白膜に存在する血管周辺にリンパ球が多く認められ、さらに、精巣と同時に移植した精巣上体では、オス→メス群においてリンパ球の浸潤が認められ、精巣上体炎様の組織像を示していた。精巣上体ではblood-epididymis barrierが精子を自己免疫系により保護しているが、このバリアーは精巣のblood-testis barrierに比べ脆弱であり、この保護能力の違いにより精巣上体において顕著に拒絶反応が出た結果と考えられる。また、CD4、CD8の免疫組織化学染色の結果では、それぞれ精巣ではCD4陽性細胞が、精巣上体ではCD8陽性細胞が多く検出されており、精巣と精巣上体という非常に近い臓器であっても異なる反応が起きることが分かった。
これらの結果は、オスでは許容される精巣・精巣上体の免疫特権がメスでは認識されず、オスの生殖系がメスの免疫細胞により異物として認識されることを示しており、男性において異性由来の免疫細胞、特にリンパ球が精巣に何らかの免疫学的障害を引き起こすことを示唆している。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

精巣における免疫環境を解明するための本研究では、段階を経て順調に進行している。昨年度、免疫学的実験移植モデルとして有用であると報告した異所性精巣移植を用いたことにより、今年度の免疫学的解析を効率よく進めることができた。昨年度の同系から異系に精巣を異所性に移植した結果をふまえ、今年度は同系の異性間(オス→オス・オス→メス)における免疫応答の差異を比較した結果、メスの免疫細胞(リンパ球)が精巣・精巣上体を異物として認識し、拒絶反応を引き起こすことが示唆された。今後は、どのように異性リンパ球が精巣の免疫学的拒絶を引き起こすのかを観察することが重要となり、また、精巣だけでなく他の男性生殖器系(精巣上体・前立腺・精嚢など)や他の器官系との拒絶反応の比較をすることにより精巣のimmune privileged siteの性質をより詳細に解明していく。

Strategy for Future Research Activity

平成30年度は、精巣の免疫学的解析をさらに進めていく。昨年度の異系移植の結果に基づき、今年度の異性移植では急性拒絶反応が認められる移植後3日の精巣および精巣上体内の変化を観察したので、昨年同様に、経時的な変化による免疫学的影響、リンパ球が出始める短期的なポイント(移植から12hr、1日)と、よりリンパ球が増加し始める長期的なポイント(5日、7日、14日など)の観察を行う。さらに、リンパ球が移植臓器に対する免疫学的影響の中心的な役割を果たすことから、オスに対しメスのリンパ球を養子移植し、メスの免疫系が精巣へどのような影響を及ぼすのかを検討する予定である。また精巣以外のオスの生殖器系および他臓器に対しどのような影響を及ぼすのかも比較解析・免疫学的解析を評価・観察を行うことにより精巣のimmune privileged sitesの性質やメカニズムの一端を解明したい。

Causes of Carryover

(理由)
平成29年度は、952,450円の翌年度繰越額を計上した。今年度の計画では、LEWメス骨髄をLEWオスに移植してオスの精巣における組織反応を観察する予定であったが、異所性精巣移植法を確立し、オス→メスへの異所性精巣移植に実験計画を変更したため計上していた培養関連試薬を使用しなかった。また、生化学的解析、分子生物学的解析に使用する試薬の購入が予定より少なく済んだため、次年度使用額が生じた。
(使用計画)
繰越金額は、平成29年度に引き続き、精巣のimmune privileged sitesの性質やメカニズムの一端を解明するための免疫学的な評価・解析を進めるための経費に当てることとしたい。

  • Research Products

    (4 results)

All 2017

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (2 results) (of which Invited: 1 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] Development of heterotopic transplantation of the testis with the epididymis to evaluate an aspect of testicular immunology in rats2017

    • Author(s)
      Yi K, Hatayama N, Hirai S, Qu N, Hayashi S, Kawata S, Nagahori K, Naito M, Itoh M.
    • Journal Title

      PLoS One

      Volume: 12(5) Pages: e0177067

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0177067. eCollection 2017.

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] TESEの際に留意すべき精巣の組織環境2017

    • Author(s)
      宮宗秀伸, 伊藤正裕
    • Organizer
      日本アンドロロジー学会第36回学術集会
    • Invited
  • [Presentation] マウス免疫学的雄性不妊症の標的自己抗原の同定の試み2017

    • Author(s)
      永堀健太, 寺山隼人, 平井宗一, 倉升三幸, 曲 寧, 宮宗秀伸, 李 忠連, 小川夕輝, 林 省吾, 伊藤正裕
    • Organizer
      日本アンドロロジー学会第36回学術集会
  • [Book] Testicular Autoimmunity: A Cause of Male Infertility2017

    • Author(s)
      Masahiro Itoh
    • Total Pages
      232
    • Publisher
      Springer
    • ISBN
      978-4431544593

URL: 

Published: 2018-12-17  

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