2016 Fiscal Year Research-status Report
精神疲労と身体疲労の鑑別が可能なヘルペスウイルスを利用した疲労測定法の開発
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15K08216
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
近藤 一博 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (70234929)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 身体疲労 / 精神疲労 / 生理的疲労 / 病的疲労 / 運動負荷 / HHV-6 / HHV-7 / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までの研究により、マウスの疲労モデルにおいて疲労に関連する分子バイオマーカー候補を複数同定した。そこで、これらを用いて運動負荷による疲労と、睡眠不足による疲労を検討したところ、これらの候補分子は何れの疲労においても増加し、運動疲労と睡眠不足による疲労に関与する分子が類似していることが示唆された。運動負荷による疲労と睡眠不足による疲労は、一見、身体疲労と精神疲労のモデルであると思えるが、モデルマウスで得られた結果を冷静に分析すると、運動の疲労は身体疲労であることは自明であり、睡眠不足の疲労も、いわゆる精神疲労というよりは、体が疲れた状態、即ち身体疲労の一種であると考えられた。 ヒトの身体疲労と精神疲労の特徴を整理すると、身体疲労が休息によって速やかに改善するのに対し、いわゆる精神疲労は休息をとっても簡単には改善しないという特徴があることが判った。休息によって改善しやすいかどうかは、生理的疲労と病的疲労を分ける重要な診断基準である。これらのことから、身体疲労とは即ち身体的な原因によって生じる生理的疲労のことであり、精神疲労とは精神的な要因によって生じる病的疲労と同じものを示していることが示唆された。 次に、生理的疲労である運動疲労および労働による疲労と、病的疲労であるうつ病、慢性疲労症候群、睡眠時無呼吸症候群の疲労における唾液中のHHV-6、HHV-7の量を検討した。この結果、生理的疲労ではHHV-6、HHV-7ともに有意に増加するのに対し、病的疲労ではHHV-6、HHV-7ともに減少する傾向があることが判った。これらの結果から、唾液中のHHV-6、HHV-7は、身体的疲労と精神疲労を区別するバイオマーカーとして使用可能であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
唾液中のHHV-6、HHV-7が、運動や労働といった身体的要因が原因となる生理的疲労にのみ反応して増加することが判ったことで、疲労感を感じている人において唾液中HHV-6、HHV-7が増加していれば身体疲労と判定でき、増加が見られなければ精神的な問題によって疲労が生じる病的疲労であると判定できることが判った。これにより、本研究は当初の目的である、ヘルペスウイルスを利用して精神疲労と身体疲労と鑑別するという目標を一応達成することができたと考えられる。 しかし、できれば精神疲労を積極的に判別できるマーカーがあるに越したことはないので、更なる研究を重ねて、精神疲労特異的な分子マーカーの検索を続行する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
精神疲労特異的な分子マーカーとして、精神的疲労の結果として生じる脳の疲労が危険因子である認知症に特異的な分子マーカーが利用できる可能性がある。脳の疲労の原因となるストレッサー負荷がDNAメチル化を引き起こすことが知られているので、認知症患者に特異的なDNAメチル化部位を同定した。今後は、これらを手がかりに精神疲労特異的分子マーカーの同定を進める予定である。
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Causes of Carryover |
平成27年度と28年度に計画していた研究計画が順調に進み、研究成果の取りまとめに時間を費やしたため、次の実験の開始がやや遅れたためです。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度から29年度にかけて計画している実験計画が整ったので、速やかに実行に移す予定です。このため、平成28年度に使用しなかった研究費も平成29年度に有効に活用させて頂く予定です。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Human herpesvirus 6 and 7 are biomarkers for fatigue, which distinguish between physiological fatigue and pathological fatigue.2016
Author(s)
Aoki R, Kobayashi N, Suzuki G, Kuratsune H, Shimada K, Oka N, Takahashi M, Yamadera W, Iwashita M, Tokuno S, Nibuya M, Tanichi M, Mukai Y, Mitani K, Kondo K, Ito H, Nakayama K.
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Journal Title
Biochemical and biophysical research communications
Volume: 478
Pages: 424-30
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Usefulness of DNA Methylation Levels in COASY and SPINT1 Gene Promoter Regions as Biomarkers inDiagnosis of Alzheimer's Disease and Amnestic Mild Cognitive Impairment.2016
Author(s)
Kobayashi N, Shinagawa S, Nagata T, Shimada K, Shibata N, Ohnuma T, Kasanuki K, Arai H, Yamada H, Nakayama K, Kondo K.
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Journal Title
PloS one
Volume: 11
Pages: e0168816
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Presentation] Human herpesvirus 6 (HHV-) and HHV-7 reactivation in fatigue, which distinguishes between physiological fatigue and pathological fatigue.2016
Author(s)
Kobayashi, R.Aoki, H. Kuratsune, N. Oka, M.Takahashi, K. Shimada, W. Yamadera, M. Iwashita, H. Ito, K. Nakayama, K. Kondo.
Organizer
The 64th Annual Meeting of the Japanese Society for Virology
Place of Presentation
Sapporo
Year and Date
2016-10-23 – 2016-10-25
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[Presentation] 唾液中ヒトヘルペスウイル ス(HHV-)6及びHHV-7量による病的疲労と生理的疲労と の鑑別に関する検討2016
Author(s)
小林伸行, 青木亮, 岡直美, 髙橋麻弓 , 嶋田和也, 玉井将人, 山寺亘, 岩下正 幸, 倉恒弘彦, 伊藤洋, 中山和彦, 近藤 一博
Organizer
第12回日本疲労学会
Place of Presentation
横浜
Year and Date
2016-05-20 – 2016-05-21