2016 Fiscal Year Research-status Report
ミトコンドリア品質管理機構から見た薬物の副作用・ミトコンドリア機能障害分子機構
Project/Area Number |
15K08226
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
野村 亮介 東北大学, 大学病院, 助教 (90400358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 岳哉 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (10312696)
久志本 成樹 東北大学, 医学系研究科, 教授 (50195434)
斎藤 将樹 東北大学, 医学系研究科, 助教 (50400271)
柳澤 輝行 東北福祉大学, 健康科学部, 教授 (90133941)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / ミトコンドリア品質管理機構 / オートファジー / ROS / AZT |
Outline of Annual Research Achievements |
抗HIV薬であるヌクレオシド系ウイルス逆転写酵素阻害薬アジドチミジン(AZT)の副作用の分子機構としてのミトコンドリア機能障害(品質管理機構)への影響を解明するとともに、このミトコンドリア機能障害モデルを利用して各種薬剤のミトコンドリア機能障害への影響の評価、ミトコンドリア機能障害を軽減する化合物の検索を目指して研究を開始した。平成27年度までに細胞系の樹立、薬物処理によるミトコンドリア機能に対する影響の評価、遺伝子およびタンパク発現の変化の検討をおこなっており、平成28年度は薬剤のミトコンドリア代謝活性に対する影響の評価、薬物処理後のミトコンドリアDNA量の変化の検討、共焦点レーザー顕微鏡を用いてのミトコンドリア動態の可視化および定量、毒性を及ぼすに至る細胞内分子標的の解析、ミトコンドリア動態に対する影響の軽減する薬物の効果の評価を行なった。 薬物のミトコンドリア品質管理機構に与える効果として、ミトコンドリア分裂(fission)が亢進することを形態学的、分子薬理学的に確認したが、特にfission関連分子に注目し、その遺伝子およびタンパク発現量の変化を解析した。一方で、ミトコンドリア傷害の標的分子としてミトコンドリア呼吸鎖複合体に注目し、ミトコンドリア代謝活性の低下、ミトコンドリア呼吸鎖複合体構成タンパクの遺伝子およびタンパク発現の変化を解析した。また、ミトコンドリア機能を保護しうる化合物を連携研究者阿部高明教授より提供いただき、その保護効果を解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
薬剤のミトコンドリア代謝活性に対する影響の評価を実施した。薬物処理後のミトコンドリアDNA量の変化の検討を実施した。共焦点レーザー顕微鏡を用いてのミトコンドリア動態の可視化および定量を行なった。毒性を及ぼすに至る細胞内分子標的の解析について行なった。ミトコンドリア動態に対する影響の軽減する薬物の効果の評価を行なった。
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Strategy for Future Research Activity |
薬物の細胞内標的分子の解析は、平成28年度に関しては間接的な証拠としての呼吸鎖複合体への影響を解明したにとどまった。網羅的な標的分子の解析のための実験を予定する。これまでの成果を論文化し、学会にて発表する。
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Causes of Carryover |
研究室で所有していた試薬、設備で実験が可能であったため、新規に購入した試薬が少なくて済んだ。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
薬物の細胞内標的分子の解析のための実験で、企業に委託する必要があり、昨年度より多くの費用を要する見込みである。また、これまでの研究成果を論文化する費用、発表するための旅費が必要になる。
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