2015 Fiscal Year Research-status Report
慢性腎臓病におけるインスリン抵抗性の発症機序解明と治療への応用
Project/Area Number |
15K08319
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
小林 正貴 東京医科大学, 医学部, 教授 (10195810)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本多 彰 東京医科大学, 医学部, 教授 (10468639)
宮崎 照雄 東京医科大学, 医学部, 講師 (60532687)
下畑 誉 東京医科大学, 医学部, 講師 (90516030)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | CKD / インスリン抵抗性 / カルニチン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,慢性腎臓病(CKD)患者に合併する原因不明のインスリン抵抗性(IR)の発症機序について検討を行っている。CKD患者では,多くの物質と同様に,腎機能の低下による尿排泄低下が生じ,骨格筋エネルギー代謝に関与するカルニチン関連物質(アセチルカルニチン)の血液中濃度も上昇していると考えられ,IRの発症機序に関与している可能性が示唆される。そこで,今年度は,CKD患者(75名)において,血液中のカルニチン,アセチルカルニチン濃度を,対照群(腎臓病非罹患者48名)と比較し,さらに,腎機能との関連性を検討した。 その結果,CKD群では,対照群と比較し,血清アセチルカルニチン濃度の有意な上昇が見られた。また,CKD患者の腎機能(eGFR値)の悪化に伴い,血清アセチルカルニチン濃度が高まる事が確認された。一方,血清カルニチン濃度には,CKD群と対象群とに差は見られず,eGFR値の関与もなかった。初年度の結果から,CKD患者で観察された腎機能の悪化に伴う血清アセチルカルニチン濃度の有意な上昇が,骨格筋のエネルギー代謝を介して,IRの発症に影響している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は,CKD患者の血液サンプル等を用いて,インスリン発症に関連する因子を探索する研究を計画であった。検討の結果,CKD患者血清で,骨格筋エネルギー代謝に関与するカルニチン関連物質の上昇を見出した。初年度の成果により,次年度以降のインスリン発症の機序を解明する裏付けと手がかりが得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の検討の結果,CKD患者の血清にて,アセチルカルニチンがeGFR値の低下に比し,有意に上昇している事が明らかとなった。この上昇は,腎機能低下に伴う,尿排泄不全が理由であろうと推測される。次年度は,腎不全モデル動物(5/6腎摘出ラット)を作成し,尿排泄不全によるアセチルカルニチンの血液中濃度上昇と骨格筋組織内蓄積,インスリン抵抗性との関連性を検討する予定である。 さらに,次年度以降,アセチルカルニチンが,骨格筋のインスリン抵抗性の発症機序に及ぼす影響について,骨格筋培養細胞を用いて,基礎的に評価を行う予定である。
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Causes of Carryover |
研究が計画通りに進み,予定していた実験等が少なく済んだため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
計画が順調に進んでおり,次年度からは,動物実験も行う予定であり,さらに,成果発表も見据えて,計画的に研究費を使用する様に心がける。
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