2017 Fiscal Year Annual Research Report
Retention of acetylcarnitine in chronic kidney disease causes insulin resistance in skeletal muscle
Project/Area Number |
15K08319
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
小林 正貴 東京医科大学, 医学部, 教授 (10195810)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本多 彰 東京医科大学, 医学部, 教授 (10468639)
宮崎 照雄 東京医科大学, 医学部, 講師 (60532687)
下畑 誉 東京医科大学, 医学部, 准教授 (90516030)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | CKD / インスリン抵抗性 / カルニチン |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性腎臓病(CKD)患者に合併する原因不明のインスリン抵抗性の発症機序の解明を目的に検討した結果,前年度までに,CKD患者では腎機能(eGFR)の悪化に伴い血中アセチルカルニチン(ACT)濃度が有意に増加している事が明らかとなった。ACTは,骨格筋に生体中の95%以上が含まれるカルニチン(CT)の代謝物であり,骨格筋の脂肪酸β酸化反応の最終産物として血中に放出される。そのため,CKD患者では糖-脂質エネルギー代謝に異常が生じ,インスリン抵抗性が発症する可能性が考えられる。 本年度は,骨格筋培養細胞を用いて,ACTの細胞中動態と糖の取込みに及ぼす影響について検討した。マウス筋芽細胞株C2C12とヒト筋芽細胞を筋管細胞に分化させ,ACT暴露によるインスリン依存性の糖取込み能の変化を,2-デオキシグルコースを用いて評価した。さらに,ACT,ならびに,CT安定同位体を筋細胞に添加し,ACTとCTの安定同位体と非同位体の量,アセチルCoAと遊離CoAをLC-MS/MS装置により測定した。さらに,筋細胞よりミトコンドリアを単離し,ACTと遊離CoA存在下で,アセチルCoAと遊離CT量を評価した。 その結果,ACTの添加により,骨格筋細胞への糖の取込みが有意に抑制され,添加されたACTは細胞内でCTへ逆転換された。それに伴って,ミトコンドリア内のアセチルCoA/遊離CoA比が有意に増加した。さらに,ACTは,ミトコンドリア内でCTへ逆転換され,その結果,アセチルCoAが生じる事が明らかとなった。 本研究により,CKD患者では尿排泄障害により血中で増加するACTが骨格筋細胞に再取り込みされ,カルニチンアセチルトランスフェラーゼによりカルニチンに逆転換される事で,ミトコンドリア内のアセチルCoAが増加し,その結果,インスリン抵抗性が生じる可能性が示唆された。
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