2018 Fiscal Year Research-status Report
HGFによる骨髄移植での樹状細胞制御を介した免疫寛容誘導機構の解析
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15K08402
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
水野 信哉 岡山理科大学, 理学部, 教授 (10219644)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | HGF / c-Met / IDO / 免疫寛容 / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
肝細胞増殖因子(HGF)はシクロスポリンなどの免疫抑制剤を用いなくても腎移植や心移植後の免疫拒絶反応を抑えることが実験動物モデルを用いた解析から明らかとなっている。一方、インドールアミン2,2-ジオキシゲナーゼ(IDO)は妊娠時の胎児拒絶を緩和する必須の因子であることが明らかとなり、この研究を皮切りに様々な病態で免疫寛容誘導に重要な役割を担うことが明らかとなっている。しかしながら、HGFによる免疫寛容に対するIDOの役割についての知見は皆無に等しい。 研究代表者たちは免疫寛容を骨髄移植(アロ系)したマウスにおける移植片対宿主病(GVHD)の発症(小腸病変など)がHGF投与により緩和できることを見出していたが、本年度は病理組織学的解析を進めた。その結果、免疫寛容誘導因子としても知られているIDOの誘導がマクロファージを主体とした免疫系細胞に誘導されることを見出した。これに一致して、炎症生サイトカインであるIL-6, IL-12, TNF-alphaの発現は抑制されることが確認された。また炎症を誘導する転写スイッチであるNF-kappaB活性化がHGF投与により抑制されることを明らかにした。培養したマクロファージにおいてリコンビナントHGFを添加したところ、あるキナーゼ経路(Xキナーゼ)のリン酸化に一致してIDOの誘導が高まることを明らかにした。さらにXキナーゼ阻害剤をHGFと同時に培養マクロファージに添加したところ、IDO発現誘導の大半がキャンセルされることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2018年度は大阪大学より岡山理科大学への人事異動があり、教育活動へのエフォートが劇的に増えた。またラボのセットアップにも多大な時間を費やすことになり、とりわけ上半期は研究を行えない状況にあった。下半期になりようやく体制が整いつつあり、当初目標の6割程度まで盛り返すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度の解析によりHGFによるキナーゼXの活性化がIDOの誘導を介して免疫寛容をもたらした可能性が高まった。以上の仮説を検証するために、HGFによるGVHD抑制マウスモデルを用いて、キナーゼX阻害剤やIDO阻害剤の影響を炎症生サイトカインの変動を指標に詳細に調べてゆく予定である。
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Causes of Carryover |
2018年度は大阪大学より岡山理科大学への人事異動があり、特に上半期は教育活動やラボセットアップにより研究の進捗が遅れたため、これに連動して消耗品などの使用が少なくなった。2019年度は研究費の7割程度が消耗品や機材(物品)、2割程度が論文投稿関連(その他)、1割が成果発表(旅費)に費やされる予定である。
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Research Products
(5 results)