2016 Fiscal Year Research-status Report
MCTの機能・発現阻害に基づいたがん細胞の転移・浸潤の抑制効果の検証
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15K08581
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小林 正紀 北海道大学, 大学病院, 准教授 (70431319)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | モノカルボン酸輸送担体(MCT) / がん細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
モノカルボン酸輸送担体(MCT)はがんの予後不良因子として報告されており、MCTの機能を阻害することでがん細胞の増殖を抑制する試みが注目を浴びている。近年、MCT1あるいはMCT4の特異的な阻害剤の探索がなされているが、MCTの発現・機能阻害とがん細胞の増殖・運動能抑制メカニズムについての情報は未だ不足している。本検討ではがん細胞の増殖に関わり、かつがん組織により発現の異なるMCT1, 4に着目し、MCTの阻害効果を利用したがんの増殖・転移の回避法の確立を目指す。これまでに我々はMCT1, 4 siRNAによるMCT1あるいは4の発現抑制により、ヒト乳腺がん由来細胞(MCF-7, MDA-MB231)の生存率を有意に低下させること、ならびに運動能を低下させることを明らかにした。またMCT1基質であり、殺細胞効果を有する3-Bromopyruvate (3-BP)、MCT1,4阻害剤であるα-cyano-4-hydroxycinnamic acid (CHC)をポジティブコントロールとしてMCTの阻害と乳腺がん細胞の生存率について検討した結果、CHCと比較して低濃度でMCT1あるいは4を阻害する新たな化合物を見出した。さらにこれらの化合物ががん細胞の生存率を低下させることを示唆した。現在、さらに低濃度でMCTの阻害とMCT発現がん細胞の生存・運動能を抑制する化合物を探索中であり、これらの体内動態解析を行うことでMCTを指標とした新たながんの進展抑制に向けた新規戦略の開発の一助としたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の結果よりMCT1, 4の発現はがん細胞の生存能、ならびにMCT4の発現が運動能に寄与することを見出し、MCT1, 4を各々阻害する新たな化合物を見出している。また現在さらに低濃度でMCTの阻害とMCT発現がん細胞の生存・運動能を低下させる化合物を探索している。本化合物を明らかにし、次年度の予定を進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで、がん細胞におけるMCTの役割について検証を行い、がん細胞の生存・運動能にMCT1, 4の発現が関与することを見出した。またMCT1あるいは4の機能を阻害することで、がん細胞の生存を低下させることを示唆する結果を得た。したがって今後、さらに低濃度でMCTを阻害し、MCT発現がん細胞の生存・運動能を低下させる化合物の探索とこれら化合物の動態解析を行い、MCTを指標とした新たながんの進展予防・治療に向けた新規戦略の開発の一助としたい。
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