2016 Fiscal Year Research-status Report
インスリン由来アミロイドーシスの病態と発症メカニズムおよび構造と毒性の研究
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15K08597
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
永瀬 晃正 東京医科大学, 医学部, 准教授 (10408114)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩屋 啓一 公益財団法人佐々木研究所, 附属研究所, 研究員(移行) (50312012)
座古 保 愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 教授 (50399440)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | インスリン / アミロイドーシス / 毒性 / 構造 / MRI / 病態 |
Outline of Annual Research Achievements |
インスリン由来アミロイドーシスは、インスリン治療中の糖尿病患者において注射したインスリンがアミロイド蛋白となり皮下に沈着する合併症である。申請者らは、インスリン由来アミロイドーシスがインスリンの皮下吸収を低下させ、血糖コントロール悪化及びインスリン投与量増加の原因となることを報告した。本研究は、インスリン由来アミロイドーシスの病態を明らかにし、また細胞毒性と構造の関連及び細胞毒性が生じるメカニズムを解明することを目的としている。 インスリン由来アミロイドーシスの病態を明らかにするために、その頻度を知る必要がある。インスリン由来アミロイドーシスは触診では存在が分からない場合があり、スクリーニングのためにインスリン注射部位をMRIで撮影する。疑わしい所見が見られた際に、切開生検または針生検でアミロイドーシスを診断し、免疫組織化学的方法または質量分析計によりインスリン由来を証明する。本年度は、インスリン治療中の糖尿病患者に対しMRIによるスクリーニングを逐次実施し、疑わしい場合に生検を行った。また、インスリン由来アミロイドーシスの発症危険因子の解明のために、上記のスクリーニング対象者のインスリン治療歴などの臨床的情報の収集及びインスリン抗体価を測定している。さらに血液サンプルを採取し、保存している。 インスリン由来アミロイドーシスの細胞毒性と構造の研究は、5症例の生検検体からマイクロダイセクションによりアミロイドを採取し、細胞毒性と透過型電子顕微鏡によって構造を調べた。本年度は、さらなる病理学的及び生化学的解析を追加した。 また、インスリン由来アミロイドーシスが炎症性に消失した症例や、長期のフォローアップ症例の症例解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、インスリン由来アミロイドーシスのMRIによるスクリーニングが進み、対象例数が増加した。また、その後の生検、診断も逐次実施し、発症危険因子の検討のための情報やサンプルの収集も進んでいる。毒性と構造の研究も進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の研究方針で研究を進める。MRIによるスクリーニングの結果をまとめて、発症危険因子の解析を行う。毒性と構造の研究では、アミロイド構造の変化を来す因子についてさらに解析を進めている。また、インスリン由来アミロイドーシスの長期予後について検討を行う。
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Causes of Carryover |
本研究は初年度の研究費を使用する期間が短く、初年度からの繰り越しがかなりあったため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究ではスクリーニングのためのMRI撮影と発症危険因子検討のための血液サンプルの解析に研究費が使用される。今後もスクリーニングの件数の増加とともに、研究費の使用が増加することが見込まれる。
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Research Products
(4 results)