2017 Fiscal Year Annual Research Report
Developing novel blood-based protein biomarker for schizophrenia
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15K08633
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
大西 新 島根大学, 医学部, 特任教授 (00507014)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 統合失調症 / 血液バイオマーカー / 免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、MIAモデルラットから発見した血液バイオマーカーであるFree Ig light chain の特徴について詳細に検討を行った。血中FLCは感染後に起こる抗体産生や炎症性疾患、骨髄腫によって増加することが知られている。これらの疾患は同時に炎症性サイトカインの上昇も伴う。しかしながら、MIAモデルラットの血液においてコントロールラットに比べ優位な炎症性サイトカイン(IL-6、IL-1beta, TNf-alpha)の上昇は観察されなかった。更に、血清プロテオミク解析の結果ではIg heavy chain の増加は観察されていないことから、MIAモデルでは炎症や抗体産生を伴わないFLCの増加が起こっていることが推定される。そこで、我々は炎症性サイトカイン(IL-6、IL-1beta, TNf-alpha)が検出されない少数の孤発性統合失調症患者血清を用いてFLCを測定した結果、正常ドナーからサンプリングされた血清に比べFLC濃度が増加していることを発見した。これらの結果は、血中の炎症性サイトカインとFLCを測定することで、孤発性統合失調症の判別が出来る可能性を示唆している。 更に、我々は、MIAモデルラットの血中FLCの特徴を詳細に調べるため、特異抗体を新たに作成しELISA法による測定を行った結果、MIAモデルラットでは生後3日目からFLCは増加しており、早期診断マーカーとしても有用である可能性が示唆された。 上記の研究結果は、炎症を伴わない血中FLCの増加は孤発性統合失調症のバイオマーカーになる可能性だけでなく、精神神経疾患では難しいとされる早期リスク診断マーカーになる可能性を示唆している。今回の前臨床研究によってFLCが有用な孤発性統合失調症のマーカーになりえることが明らかになった。
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Research Products
(4 results)