2015 Fiscal Year Research-status Report
In vivoパッチクランプ法と三次元電子顕微鏡を用いた脊髄痒覚シナプス機構解明
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15K08667
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
歌 大介 富山大学, 大学院医学薬学研究部(薬学), 助教 (70598416)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安東 嗣修 富山大学, 大学院医学薬学研究部(薬学), 准教授 (50333498)
高浪 景子 岡山大学, 自然科学研究科, 研究員 (70578830)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 痒み / 脊髄後角 / in vivoパッチクランプ / 5-HT / 痛み / 興奮性シナプス応答 / GRP / Nppb |
Outline of Annual Research Achievements |
時に痒みは痛み以上に耐え難く非常に苦痛を伴う感覚であるにもかかわらず、痛みに比べ脊髄における痒み情報伝達機構の詳細は不明なことが多い。申請者が行ってきた研究によって、痒覚は脊髄表層に伝達されるなど電気生理学的解析により明らかにしてきた。しかし、脊髄表層痒みニューロンの形態やその調節機構は未だ不明ある。近年、痒覚伝達を担う特異的な神経伝達物質としてgastrin-releasing peptide (GRP)やnatriuretic Peptide B (Nppb)が同定され、その受容体としてGRP受容体・Nppb受容体が同定されこれらは侵害受容細胞や脊髄表層細胞の一部でも発現が確認されている。そこで、脊髄後角細胞からin vivoパッチクランプ法を用い、後肢皮膚への起搖物質(5-HT)投与により誘起されたシナプス応答に対するこれら痒覚情報伝達関連受容体の関与について研究を行った。 脊髄後角細胞からin vivoパッチクランプ法を用い-70mVの電位固定下に興奮性シナプス応答を記録した。後肢皮膚への5-HT投与により脊髄表層細胞の一部で長時間にわたる興奮性シナプス応答の増加が見られた。この5-HTにより誘起された興奮性シナプス応答に対し、GRP受容体・Nppb受容体拮抗薬を脊髄表面に灌流投与したところ5-HT誘起の興奮性シナプス応答は抑制されなかった。その一方で、グルタミン酸受容体のひとつであるであるAMAP受容体拮抗薬を脊髄表面に灌流投与したところ5-HT誘起の興奮性シナプス応答は完全に抑制された。 以上のことから、痒み情報伝達を担う神経情報伝達物質としては主としてグルタミン酸であることが明らかとなった。これらの研究結果は、2015年に開催された8th World Congress on Itch、2016年に開催された日本薬理学会年会などで発表を行った
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究で、痒み中枢への情報伝達系を解明するために、in vivoパッチクランプ法を用い起掻物質である5-HTをラット下肢皮膚へ投与し脊髄後角における詳細なシナプス応答解析により、痒み受容ニューロンの多くはある種のTRPチャネル発現線維の入力を受けていることを見出した。更に、この5-HTにより誘起された長時間にわたる興奮性シナプス応答に対して、GRP受容体・Nppb受容体拮抗薬を脊髄表面に灌流投与し薬理学的な解析を行ったところ、5-HT誘起の興奮性シナプス応答は殆ど抑制されなかった。その一方で、興奮性の情報伝達物質であるグルタミン酸受容体のひとつであるであるAMAP受容体拮抗薬を脊髄表面に灌流投与したところ5-HT誘起の興奮性シナプス応答は完全に抑制された。これらの結果は、8th World Congress on Itch、日本薬理学会年会などで報告した。現在は、さらに詳細な脊髄伝達機構を解明するために痒み受容ニューロンの形態学的解析などを行っている。 以上のことから、おおむね研究計画通りに研究が出来ていることから順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在行っている、5-HTに応答した膠様質ニューロンの詳細を調べるために免疫組織学的手法を用いて形態染色を行う。更に、詳細な解析を行うために、分担研究者である岡山大学高浪景子博士と三次元電子顕微鏡を用いた痒みニューロンの形態的特徴や軸索投射部位の詳細を解析の準備に着手する。電気生理学的解析や組織学的解析を行い、脊髄における掻痒シナプス伝達を担う基盤神経回路の同定と情報処理機構の全容を明らかにすることを目的とする。
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Causes of Carryover |
27年度は主に脊髄などの薄切を行い免疫染色を行い携帯組織学的解析を行うため必要なリニアスライサー(堂阪イーエム 型番 ZERO1)を購入予定であったが、27年度は電気生理学的な解析をメインとした実験を行っていたため既存の装置で実験が遂行できた為、28年度に助成金を繰り越し調達を行う事とした為。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
28年度は5-HTに応答した膠様質ニューロンの詳細を調べるために免疫組織学的手法を用いて形態染色を行う。更に、詳細な解析を行うために、分担研究者である岡山大学高浪景子博士と三次元電子顕微鏡を用いた痒みニューロンの形態的特徴や軸索投射部位の詳細を解析の準備に着手する予定である。免疫染色を行うためには脊髄を薄切するリニアスライサーが必須であるため、28年度はリニアスライサーを27年度助成金の繰り越しを合算し購入する予定である。
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[Journal Article] Structure-function correlations of rat trigeminal primary neurons: Emphasis on club-like endings, a vibrissal mechanoreceptor.2015
Author(s)
Tonomura S, Ebara S, Bagdasarian K, Uta D, Ahissar E, Meir I, Lampl I, Kuroda D, Furuta T, Furue H, Kumamoto K.
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Journal Title
Proc Jpn Acad Ser B Phys Biol Sci.
Volume: 91(10)
Pages: 560-576
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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