2017 Fiscal Year Research-status Report
B型肝炎ワクチンに対する初期および記憶免疫応答に関する研究
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15K08746
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
宮坂 昭生 岩手医科大学, 医学部, 准教授 (80382597)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | HBワクチン / TCRβレパトア / BCR IgG H chainレパトア |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)B型肝炎(HB)ワクチン接種後のB細胞の免疫記憶 HBワクチン3回接種後のHBs抗体価は、個人差があり、経時的に低下する。しかし、免疫学的記憶が残存するため、HBワクチンは長期間有効であるとされている。だが、免疫学的記憶を確認するにはHBワクチンの追加接種が必要となる。もし、HBワクチン接種後のHBs抗原特異的memory B細胞の機能と反応性が確認できれば、免疫学的記憶が残存している可能性があり、追加接種を減らすことが可能性となる。HBワクチン接種後およびHBワクチン未接種者の末梢血単核球を(PBMCs)を分離後、PBMCsよりマイクロビーズを用いて分離したB細胞に標識付CD19, CD14, CD27抗体を加え、さらにHBs抗原および標識付HBs抗体を添加した前後でFlow cytometryを用いて解析を行なった。その結果、memory B細胞は末梢血中に僅かに存在するが、HBs抗原特異的であるかの検討が必要と考えられた。同時に、B細胞にHBs抗原を添加した前後での細胞内シグナルについても測定中である。 (2)HBワクチンに対するT細胞の初期免疫応答 HBワクチンに対するT細胞の初期免疫応答については、HBs抗体価獲得と関連する因子であるHLA、T細胞受容体β鎖(TCRβ)を初回HBワクチン接種者5例で検討した。同時にB細胞受容体IgG重鎖(BCR IgG H chain)についても検討を行なった。①5例全例がHBs抗体を獲得したため、HLAとの明らかな関係は見いだせなかった。②HBs抗体価は、HBワクチン2回接種後10mIU/mL未満であったが、3回接種後10mIU/mL以上であった。③HBワクチン2回接種後にTCRβレパトアは上昇、BCR IgG H chainレパトアは低下していた。以上より、HBワクチン2回接種後HBs抗体価は10mIU/mL未満ではあるが、TCRβレパトア、BCR IgG H chainレパトアには変化が起きている可能性が示唆された。 本研究の(2)については、2017年12月に福岡で行われた第21回日本ワクチン学会学術集会において口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究遂行に想定以上の時間を要した。 HBワクチン接種後のB細胞の免疫記憶:HBワクチン接種後およびHBワクチン未接種者についてFlow cytometryを用いて解析を行なった結果、memory B細胞は末梢血中に僅かに存在していた。しかし、HBs抗原特異的memory B細胞を検出するにはさらにマイクロビーズでセレクションをし、ELISPOT法で検討する必要があると考えられた。また、細胞内シグナルを検討するためWestern blot、cell signaling assay、PCR法を検討中である。 HBワクチンに対するT細胞の初期免疫応答:HBワクチン接種前後の検体を収集し測定を行ない、学会発表および情報収集を行なった。
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Strategy for Future Research Activity |
HBワクチン接種後のB細胞の免疫記憶についてはさらに解析検討を続ける。 HBワクチンに対するT細胞の初期免疫応答については学会発表および情報収集を行なったので、今後は論文作成を行い投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
研究の進捗状況は遅れた状態であり、次年度は、HBワクチン接種後のB細胞については解析検討を続け、HBワクチンに対するT細胞の初期免疫応答については論文作成し、投稿する予定である。解析検討と論文発表に使用する予定である。
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